コラム
» 2008年08月25日 09時26分 公開

クラウド対応型セキュリティの核心Weekly Memo(2/2 ページ)

[松岡功,ITmedia]
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クラウド時代の最大の差別化ポイントとは

 同社の新井一人ソリューションビジネス推進室室長は会見で、新ソリューションの最大の特徴についてこう語った。

 「従来のセキュリティ製品は、企業のネットワーク上に設置することで基本的に完結している。しかし、それだけでは新たな脅威に対応できていない現実がある。そこで当社は今回、リージョナルトレンドラボがこれまで蓄積してきたナレッジや最新の情報を活用して顧客に解析結果などを提供する仕組みを取り入れた。こうしたクラウド型サービスを前提にしているのが最大の特徴だ」

 新井室長のたとえ話によると、従来のウイルス対策製品は指名手配の犯人を追いかけるようなものなのに対し、新ソリューションはそれだけでなく、挙動不審な人物も抑え込んでしまうのが狙いだという。その挙動不審を検知し最適な処理を行うために、クラウド上に設けたリージョナルトレンドラボのナレッジを活用しようというのが、新ソリューションの最大の売りというわけだ。

 例えばTrend Micro Threat Discovery Suiteにおける分析・リポートサービスでは、リージョナルトレンドラボが検知ログを相関分析し、日次・月次のリポートを提供する。日次リポートは新種を含めて危険性の高い不正プログラムの感染報告、検知記録などをサポート。月次リポートでは1カ月間の傾向分析や注意すべき課題などをリポートする。

 冒頭の大三川取締役のコメントで言うと、「当社に蓄積されたナレッジを活用して」というのが、まさしく今回の新ソリューションの肝だ。さらに同氏は、「こうした新しい仕組みのソリューションを、すでにそれぞれの顧客にセキュリティソリューションを提供しているシステムインテグレーターやコンサルティング会社などのパートナー企業にもどんどん活用してもらい、新たな販売スタイルおよびパートナーシップというものを形成していきたい」と力を込めた。

 今回、トレンドマイクロが打ち出した新ソリューションの仕組みは、クラウド対応型セキュリティのあり方を示唆したものだ。この方向は他のセキュリティベンダーも同様だろう。そして、その核心は最新情報や解析ノウハウを含めたナレッジベースにある。今後ますますその傾向が強まるだろう。ユーザーにとっての選択肢も、そこが決め手になってくるのは間違いないところだ。

 ところでこの傾向、はたしてセキュリティ分野だけのことだろうか。クラウド時代の最大の差別化ポイントは、どの分野も「ナレッジ」に集約されてくるのではないだろうか。今後の取材テーマの1つにしたい。

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プロフィール

まつおか・いさお ITジャーナリストとしてビジネス誌やメディアサイトなどに執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などを経てフリーに。2003年10月より3年間、『月刊アイティセレクト』(アイティメディア発行)編集長を務める。(有)松岡編集企画 代表。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。


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