IBM、カーボンナノチューブの研究で「ブレークスルー」を実現HPも新たな研究(2/2 ページ)

» 2008年08月27日 08時37分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK
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 HP Labs(Hewlett-Packardの研究部門)では、新タイプのナノスケールデバイスの開発に向けた研究を進めている。HPの研究者たちは4月、電気工学分野における第4の基本回路素子「メムリスター」(memristor:メモリレジスターを縮めたもの)の実現を目指した研究を紹介した。この研究は、従来とは異なるタイプのコンピュータメモリの開発を目指す研究者らに新たな視点を提供するものと思われる。

 先ごろサンフランシスコで開催されたIntel Developer Forumでは、Intelのジャスティン・ラトナーCTO(最高技術責任者)がフォトニクス分野における同社の取り組みを紹介した。フォトニクスは光のパルスによってデータを送信する技術であり、いずれ銅配線に取って代わるとみられている。Intelの研究および新技術の開発に向けた同社の投資も、ナノスケールデバイスを実現する可能性を秘めている。

 データの伝送に光を利用するプロセッサは、ハイパフォーマンスコンピューティングや大規模なデータセンターなどの応用分野があるが、ラトナー氏によると、Intelでは最初にこの技術をデスクトップで採用したいと考えているようだ。そうすることで、同技術の実用性を示すとともに、価格を妥当なレベルに引き下げることができるからだ。

 Intelの取り組みが成功すれば、フォトニクスおよびナノフォトニクスは、パワフルでありながら優れたバッテリー寿命を実現するプロセッサを開発するための画期的な手法につながる可能性がある。このようなチップは、ノートPCなどの小型デバイスや携帯電話などのワイヤレス携帯端末などに適している。

 こういった取り組みが各方面で進んでいるものの、当分の間、チップ開発の分野でナノテクノロジーが従来のシリコンをリプレースする可能性は低いということを忘れてはならない。IntelとIBMはいずれも、次世代の32nmおよび22nmマイクロプロセッサの開発では、従来のシリコン技術を利用する。

 IBM、HP、Intelに加え、米国政府もナノテクノロジー分野に関心を示している。米下院は6月、連邦政府のナノテクノロジー研究プログラムを再認可する新法案を可決した。

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