ファイルの損傷が原因でFAAの老朽システムがダウン数千人の旅行者に影響(1/2 ページ)

連邦航空局の飛行計画管理用のITネットワークが8月26日、約2時間半にわたってダウンしたことで、全米40カ所余りの空港で航空機の離陸予定に支障が起き、数千人の乗客が影響を受けた。同システムは既に復旧しているが、老朽化が進んでいることもあり、近くリプレースされる予定だ。

» 2008年08月28日 17時12分 公開
[Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK

 連邦航空局(FAA)の飛行計画を管理するITネットワークが8月26日、約2時間半にわたってダウンした。これにより、全米40カ所余りの空港で航空機の離陸予定に支障が起き、数千人の旅行者が影響を受けた。このシステムは8月27日に復旧した。

 FAAのIT担当者は8月27日の時点で、同局の主要なデータセンターがあるジョージア州ハンプトンで原因究明作業を続けている。

 このFAAのシステムは老朽化が進んでおり、そろそろ引退の時期を迎えている。システムは20年前に納入された2系統の冗長型メインフレームで構成されており、主要系統はジョージア州、バックアップ系統はユタ州にそれぞれ配備されている。今年の冬には、最新鋭のシステムでリプレースされる予定だ。

 FAA向けにこれらのメインフレームをカスタム開発した企業は、20年前に事業から撤退している。

原因はデータの損傷

 「8月26日午後1時25分(東部夏時間)に起きたのは、毎日実施している通常のソフトウェアロードの最中にファイル内で一部のデータが損傷し、その結果、アトランタのシステムがダウンしたことだ」とFAAの広報担当者ポール・タケモト氏は語った。

 「システムに保存されていた飛行計画はほとんどすべて消えてしまった。既に離陸した飛行機やゲートから離れたばかりの飛行機については、何も問題はなかった。しかしそれ以外の飛行機のすべてで遅れが出た」と同氏は話す。

 タケモト氏によると、ソルトレークシティのバックアップ施設にオペレーションが切り替えられたことで状況がさらに悪化したという。バックアップ施設は、負荷全体の125%を処理できるように設計されていた。

 「実際の負荷はそれ(125%)をはるかに超えていた。各航空会社が手作業でそれぞれの飛行計画を再提出しようとしたからだ。彼らは何度も[Enter]ボタンを押し続けた。このためキュー(待ち行列)があっという間に膨れ上がった」とタケモト氏は語る。「その上、発着数が増加するピークタイムの最中にこれが起きたのだ。ソルトレークシティのシステムはまったく対応できなかった」

 「つまり、次々と再提出される飛行計画、1日のうちの混雑時間での障害発生、老朽化したシステムが引き起こしたバックアップへの切り替えという悪条件が重なったのだ」とタケモト氏は説明する。

 このためFAAは航空各社に対し、しばらくの間、飛行計画を提出しないよう指示した。その結果、多数の乗客がターミナルで待たされることになった。タケモト氏によると、午後4時ごろまでには状況が改善され、システムが復旧したという。

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