「分単位」のモバイルデータ通信、b-mobile 3Gの使い方第3のモバイル利用法

日本通信が8月から開始した「b-mobile 3G」は、通信時間を基準にする新しいタイプのモバイルデータ通信サービスとなる。その使い勝手を探ってみた。

» 2008年09月01日 08時45分 公開
[ITmedia]

 モバイルサービスを提供する日本通信は、8月からNTTドコモのFOMA網を利用したデータ通信サービス「b-mobile 3G」の提供を始めた。同サービスは「分単位」でデータ通信を行うスタイルであり、一般的なモバイルデータ通信サービスで導入している従量課金制や定額制とは異なった形態のサービスとなる。

 b-mobile 3Gは、最初に同社サイトや家電量販店の店頭でパッケージ製品を購入することになる。購入料金に含まれるのは、150時間分のデータ通信利用時間(初回手続きから480日有効)とUSB型データ通信端末、インストール用CD、簡易取り扱い説明書など。市場想定価格は3万9900円となっている。

b-mobile 3GのUSB型データ通信端末。端末内部にNTTドコモも基地局に接続するためのFOMAカード(SIMカード)を挿入する(右)。側面にmicroSDカードのスロットも搭載している

 携帯電話会社が提供するモバイルデータ通信を利用するには、携帯電話端末の契約と同じように、まずキャリアを選択し、次に使用する端末や契約プラン(期間契約型も含む)を選ぶ。b-mobile 3Gではパッケージを手に取ってレジで購入するだけで、利用開始時の手間が少ないのが特徴だ。同社ではこのような形態のサービスを通称「通信電池」と呼んでいる。商店などで必要な時に気軽に購入できる乾電池になぞらえたものだという。

接続はワンクリック

 初めて購入した場合は、まず付属のインストールCDでPCにb-mobile 3Gの接続ツールをインストールする。手順はウィザードに従うだけだ。次に同社が設置している「開通手続きダイヤル」へ携帯電話もしくはPHSから電話(固定電話では受け付けていない)し、パッケージ箱の側面に記載されている電話番号を入力する。開通手続きは15分程度で完了し、USB型データ通信カードをPCなどの端末に接続すると利用できるようになる。

接続ツールの標準ウインドウ

 データ通信の開始/終了の操作は、接続ツールの「3G Access」というボタンをクリックするだけ。最寄りのFOMAの基地局に接続が完了すると、まず日本通信の管理サーバへ通信し、b-mobile 3Gの利用確認を行う。利用可能時間は、接続ツールで確認することができる。データ通信を利用している間は有効な残り時間が分単位でカウントダウンされていく仕組みだ。

接続ツールでは残り時間の確認ほか、サービス利用と同時にブラウザやメールソフトを起動させる設定機能やサポート窓口の案内などが提供されている

 データ通信速度について、同社では「実測値は環境で大きく左右される」との理由から理論値を含めて公表していない。b-mobile 3Gで使用するデータ通信端末は中国のZTEが開発、製造するもので、HSDPA方式の下り最大3.6Mbpsの通信速度に対応する。実際にgooのスピード計測サイトで通信速度を測定したところ、都心では300〜350kbps程度(平日昼間)、郊外では300〜700kbps程度(休日昼間)という結果になった。参考値となるが、イー・モバイルが提供する3.6Mbpsの通信カードで同様に計測したところ、都心では1.10〜1.25Mbps程度(平日昼間)という結果になった。

gooスピードテストでの下り通信速度の測定結果(東京・有楽町)。左がb-mobile 3G、右がイー・モバイルの「EMブロードバンド」サービス。ともに最大3.6Mbps対応の端末だが、b-mobile 3GはNTTドコモのネットワークに接続するため基地局周辺に多数のユーザーがいると通信速度に影響が出るが、サービスエリアは全国となる

 実際の使用感では、静的なWebサイト(動画などが少ないサイト)の閲覧や添付ファイルを伴わない電子メールの利用にはほぼ支障がない。動画を閲覧したり、大容量データのファイルを送受信したりすると、通信速度の制約からやや時間がかかる。ビジネス用途の場合、電子メールでの連絡やWeb上にあるスケジュール情報や連絡事項の確認といった利用に適しているとの印象を得た。画面転送型シンクライアントのように、ネットワークの帯域をフルに使うような本格的な利用形態はやや苦手なようだ。

モバイルの利便性とコストのバランスを

 b-mobile 3Gの最大のメリットは、「時間」というユーザーが分かりやすい単位で利用できる点にあるようだ。従量課金の場合、「1パケット当たりいくら」という料金形態になるが、利用料金を把握するためには管理ツールなどを別途用意して、常に通信総量をチェックしておく必要がある。使い過ぎてしまうと、「パケ死」と呼ばれるように膨大な金額の通信料金を請求されるだろう。

 また、イー・モバイルやウィルコムではPCデータ通信向けに、さまざまなタイプの定額制を導入している。完全定額制なら、利用時間や通信総量を気にすることなくデータ通信を利用できる。だが、月額料金はおおむね4000〜6000円となっており、利用頻度が少ない場合には割高になる。最近では「2段階定額」という形で、通信量に応じて定額制と従量課金を併用するプランも増えつつある。2段階定額の場合は最低料金が1000円台からと安価ではあるが、通信頻度が増えると完全定額制と同じように割高となってしまうだろう。

 日本通信ではb-mobile 3Gの平均的な利用イメージとして、1週間に数回、毎回1〜2時間の利用であれば月額2500円程度になると説明している。モバイルデータ通信で、常に通信料金を気にしたくはない、必要以上に通信コストを出費したくないといった場合には、時間単位で利用するサービスも選択肢の1つになりそうだ

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