マイクロソフトの樋口社長は、モバイルコンピューティング推進コンソーシアムのイベントでスマートフォン戦略をテーマに講演した。
モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)主催の「モバイルソリューションフェア」が9月5日、都内で開催され、マイクロソフトの樋口泰行社長が同社のスマートフォン戦略をテーマに基調講演を行った。
樋口氏は冒頭、「モバイルがPCの世界に近づきつつある。われわれのようにPCでビジネスをしてきた企業には脅威だが、逆に積極的に進出することで新たな価値を企業に提供したい」と話した。
同社の企業ユーザー向けモバイル戦略では、スマートフォン向けOS「Windows Mobile」を中核に、Exchange ServerやOffice CommunicatorなどのServer製品群とのアプリケーション連携を展開している。同社の調べでは、特に電子メールやアドレス、スケジュール、社内ポータルがスマートフォンの企業利用の主目的となっていることが分かった。
Windows Mobileを採用するスマートフォン端末は、現在までに55カ国160社の通信事業者が販売し、2007年は約1100万台が出荷された。このうち、国内の出荷は約100万台。2008年は全世界で約2000万台を出荷する見込みであるという。
樋口氏は、Windows Mobileを企業が利用するメリットについて、PCで使い慣れたWindowsのユーザーインタフェースからOfficeやExchangeを利用できること、また、モバイルアプリケーションの開発にVisual Basicを利用でき、既存の開発リソースやアプリケーション資産を有効活用できる点を挙げた。その上で、PCと同レベルのスマートフォンクライアントの管理環境が求められていると述べ、4月に発表したスマートフォン管理ツールの「System Center Mobile Device Manager 2008」(SCMDM)を紹介した。
SCMDMは、システム管理ツールのSystem Centerに統合でき、端末の構成管理やセキュリティポリシーの設定、各端末への配布、ユーザー権限管理、ログの収集、管理などができる。携帯カメラの操作禁止といったモバイル端末ならではのポリシー適用も可能となっている(最新版OSのWindows Mobile 6.1が対応)。
デモンストレーションしたモバイルコミュニケーション本部の越川慎司本部長は、「例えば、設定したセキュリティポリシーの適用するユーザーをActive Directoryから選択し、ユーザーにインストールパスワードを通知するだけで、端末に反映できる」と紹介した。
樋口氏は、今後のモバイル戦略について、ソフトウェア製品とオンラインサービスを組み合わせて提供する「ソフトウェア+サービス」戦略にWindows Mobileを取り込んでいくと話した。「モバイル単体だけでなく、PCやインターネット上のクラウドサービスと一体になることが、さらなる付加価値をユーザーに提供することになる」(同氏)
9月30日から千葉県の幕張メッセで開幕する「CEATEC JAPAN 2008」で、Windows Mobileに関する新たなオンラインサービスや新端末を発表すると話した。
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