エネルギー効率に優れた「グリーンデータセンター」の作り方(2/2 ページ)

» 2008年09月12日 06時45分 公開
[George Crump,eWEEK]
eWEEK
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グリーン化を目指すベンダー

 プライマリストレージ分野で、現在そうした機能を提供できるベンダーは、3PAR、Compellent、そしてOnStorなどに限られる。各社ともグリーンドライブの導入は未発表だが、その方向ではベストポジションに位置している。バックアップおよびアーカイブ分野では、Copan Systemsがすでにそうした機能を提供している。同社の製品は、データの書き込みやアクセス方法をコントロールすることができる。これらのベンダーの製品は、データが古くなるとアイドルドライブへ移し、また頻繁に利用されるようになるとアクティブドライブへ復帰させることが可能だ。また各社は、シェルフ全体を代表するデータを格納したドライブだけをスピンアップさせる技術も持っている。

 データをどこに書き込むかコントロールできるようになったら、次は単にスピンダウンするだけでなく、パワーオフが可能なドライブに目を向けてみよう。ドライブの電源を落とすには、ちょっとした勇気がいる。「ちゃんと再起動するだろうか?」といった不安が常に付きまとうからだ。しかし、Copan Systemsの最近の動作テストでは、1台のドライブで6万回オンオフを繰り返しても、MTBF(平均故障間隔)に影響はなかったという。それでも、「なぜパワーオフのリスクを取る必要があるのか? スピンダウンで十分ではないか」という反論はあるだろう。

 プライマリストレージシステムの場合、確かにその指摘は論理的だ。とくに前述のモデル、すなわちデータの80%をアーカイブに、そして5%を半導体ディスクに移動する場合、スピンダウンで何の問題もないだろう。だがニアラインアーカイブの場合、状況は大きく異なってくる。アーカイブ、とくにデータを数十年にわたって保存するようなケースでは、おそらく数百あるいは数千台のドライブが必要になる。その場合、わずか2ワットの電力が(ドライブのパワーオフで)セーブできただけでも、全体で2キロワットのエネルギー削減になるだろう。もちろん、その数字にはコントローラや他のコンポーネントの分は含まれていない。消費電力の削減のためにシェルフ全体をパワーオフすることも、いずれは可能になるだろう。

そのほかのドライブをパワーオフする理由

 ドライブをパワーオフするもう1つのメリットは、MTBFレートの向上だ。とくにアーカイブの場合、ドライブはできるだけ長期間サービスが可能な状態にしておきたい。パワーオフできれば、(30日ごとにテスト起動しても)ドライブの寿命を延ばすことができ、同時にドライブ内に置かれたデータの安全性を確保することも可能になる。

 ドライブのパワーオフは、フューチャープルーフ(将来を保証する)機能でもある。ドライブの電源を切ること以上に電力消費を抑制できる方法はない。それ以上の効率化を実現する技術は、おそらく永遠に登場しないだろう。ラップトップやデスクトップでは、以前からドライブのパワーオフが一般的に行われてきた。それがいよいよアーカイブシステムに適用されるだけだ。すでに十分に知られた安全な技術である。対照的に、グリーンドライブはまだ幼年期にあると言える。データセンターに導入する前に、もうしばらく吟味する必要があるだろう。グリーンドライブの導入で、電力消費の効率化がいっそう進むことは間違いない。しかし、それでもパワーオフに勝るものはない。

 またドライブをパワーオフできれば、ドライブそのものの高密集化が可能になる。それによって、電力だけでなく、設置スペースもセーブできる。高密集化では、ユニークなマウント方法で振動を抑える必要がある。カウンターマウンティングと呼ばれる方法だが、この振動抑制により、ドライブの寿命は大幅に伸びる。

結論

 データを読み書きする場所をコントロールできれば、また単なるスピンダウンではなく、ドライブそのものをパワーオフすることができれば、より省電力型のアレイシェルフの設計が可能になる。つまり、収容したドライブすべてを常時稼働させることを前提としない低消費電力シェルフが実現する。その結果、データ要求に対応する必要のあるドライブだけに電力を供給することで、全体的な排熱と電力消費を抑制することが可能になる。

 ディスクドライブの電力消費を削減するキーコンポーネントは、新しいドライブ技術だけではない。データレイアウトのインテリジェンスやシェルフ、ドライブのハウジングに関するインテリジェンス、そして長期間にわたってデータの完全性を維持管理するソフトウェアも不可欠だ。

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