これらのツールは、IBMの顧客が社内でコミュニティーを構築することを可能にする。こういった機能は、顧客、パートナー、従業員の間で全社的なコラボレーションを実現したいと考えている企業にとって不可欠になってきた。
Social Software Centerの設立は、IBMが企業向けソーシャルソフトウェアの分野でFacebookやMySpaceのような存在を目指していることを示すものだ。ビッグブルーは、できるだけ多くのユーザーをLotus Connectionsなどの技術に引き付けたいと考えているのだ。
同センターの「Corporate Residency」プログラムに最初に参加する企業は、Dow JonesとThomson Reutersである。このプログラムは、IBMのソーシャルソフトウェア研究の成果に企業が直接触れる機会を提供する。
プログラムに参加する企業は、従業員をセンターに3カ月間派遣する。ボランティアとして派遣された従業員は、IBMの研究者および大学生のチームと共同で、特定のソーシャルコンピューティングプロジェクトに携わる。
グリーフ氏によると、同センターは多数の名門校の近くにあり、近辺には有能な研究者も集まっているため、IBMではハーバード大学やマサチューセッツ工科大学の学生や教員、ならびに全世界の研究者とコラボレートするつもりだという。
IBM Researchのインターンシッププログラムも拡大され、大学年度まで含められることになる。これにより、大学生をIBM Center for Social Softwareのプロジェクト、クライアント、研究分野と組み合わせることが可能になるという。
IBMが豊富な資金、そして有り余る人的リソースとインフラをソーシャルコンピューティングに投入できるのは確かだが、市場のニッチ分野では競争に直面している。InsideViewなど多くの企業が、販売やCRMの分野でソーシャルコミュニティーの普及拡大を進めているのだ。
また、Wi5Connectは9月17日、企業用のソーシャルネットワークにe-ラーニング機能を追加する「CommSocial」という製品を発表した。
しかしGartnerのアナリスト、アンソリー・ブラッドリー氏は、ソーシャルソフトウェアの安易な導入に対して警告している。同氏が最近まとめた報告書によると、多くのソーシャルソフトウェアプロジェクトが失敗するのは、ソーシャルソフトウェアツールを導入するだけで素晴らしいコミュニティーが自発的に形成されるという間違った認識をITマネジャーが抱いているからだとしている。
ソーシャルソフトウェアの導入を担当するITマネジャーとビジネスマネジャーは、コミュニティーの中心目標を設定し、その目的が達成されるように実装をアレンジしなければならない。
ブラッドリー氏の指摘、そして企業でのソーシャルツールの禁止が広がっているように思える現状を考えれば、IBMなどのソーシャルネットワークベンダー各社がユーザーベースを拡大するには、彼らが想像している以上に必死にならなければならないだろう。
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