ホテル予約や観光スポット案内サービスを提供する自動車関連企業など顧客が満足するような経験を組み込む手法に注目が集まる。従来のCRMのような囲い込みとは違う。コンサルティング大手ベリングポイントのコンサルタントが解説する。
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最近、「顧客経験」の場を演出し、顧客との関係を深める「顧客マネジメント」に関する相談が増えてきている。消費の二極分化が進む中、顧客はこだわりを持っている商品やサービスについては徹底的に吟味してから購入する一方、こだわりのないものは、価格の安さなどを判断基準に買う傾向がある。顧客の深層心理にあるこだわりの理由をつかみ切れないのが、企業の悩みの種である。
こだわりを満たす顧客経験を提供するマーケティング手法として、顧客マネジメントに注目が集まっている。顧客マネジメントを実施するにあたっては、顧客が魅了されるような体験を企業が提供していくことが前提になる。従来のCRM(顧客関係管理)とはアプローチが異なってくる点に注意したい。本稿では、ベリングポイントにおける顧客マネジメントの実践研究から、顧客マネジメントの本質と導入ポイントについて触れてみたい。
顧客マネジメントは従来のCRMとは進め方が違う。CRMでは優良顧客セグメントを定義した上で、囲い込みをしてリピーターになってもらい、収益を最大化する。一方、顧客マネジメントの場合、顧客が企業とコミュニケーションする際の導線上に、魅力的な顧客経験を設け、関係を密に築いていく。収益の最大化という目的は同じだが、囲い込みではない。
顧客マネジメントの導入ポイントは次の通りだ。顧客を引き付ける顧客経験の設定が鍵を握る。
顧客のこだわりに応えるには、上記の顧客経験をコミュニケーションの導線上に仕組みとして取り入れる必要がある。例えば、航空会社の例を挙げると、優良顧客向けに差別化したサービスを実施するために、空港と機内のコミュニケーション導線上に以下の顧客経験を設定した。
この例は、優良顧客を特別扱いすることで優越感を感じてもらう顧客経験の一種である。顧客経験は、商品やサービスの本質的な価値から積み上げられていくものであり、企業にとって重要だ。
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