顧客マネジメントの導入は、単純に顧客データベースの分析から販売戦略を策定するだけでは成功しない。顧客が買う理由、購買動機を突き詰めて考えてみると、従来のCRMで分析していた購買履歴のデータは、同ブランドもしくは類似したアイテムの推奨にとどまり、顧客経験の本質までは語ってくれないことが分かる。
購買動機、顧客を引きつける要素であるブランドヒストリーや商品企画、生産工程における職人芸のこだわりなどを、ターゲット顧客別に発信して共感を得ていくことが顧客マネジメント成功の鍵である。
顧客のこだわりを満たし、「顧客を引き付ける」ことのできる顧客経験の提供を常に意識して、全社的に実践できれば、市場において存在価値のある企業として認められていく。いったん顧客を引き付けられれば、値付けが多少高くても顧客は「リーズナブル」と感じてくれる。不毛な価格競争から脱却することも可能になる。企業価値を高める上で、顧客経験を創出し、顧客マネジメントを強化していくことが今後は必要不可欠な要素になっていくだろう。
大手小売業、放送コンテンツ事業会社のオペレーション・マーチャンダイジング・ブランドマネジメント部門、ケータイを用いたCRMソリューション事業開発などを経て現職。CRM領域において、構想策定や営業業務改革、マーチャンダイジング業務改革など、多くのコンサルティング経験を有する。
コンサルティング会社におけるマーケティング改革支援、モバイルベンチャーにおけるモバイルFelica 関連ソリューションの提案やケータイASPプロダクトの企画・開発に従事後、現職。マーケティング・CRMの企画立案、新規事業・新製品立ち上げ支援などを専門とする。
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