Microsoft、Mozilla、Googleがブラウザの未来を語るOSとブラウザは比較無用か(1/2 ページ)

ブラウザの非互換性を非難する声が高まるなか、主要プレーヤーのMicrosoft、Mozilla、Googleがブラウザの今後について議論した。

» 2008年09月26日 08時00分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 ブラウザの非互換性を非難する声が高まるなか、主要プレーヤーのMicrosoft、Mozilla、Googleがブラウザの今後について議論を深めている。Web 2.0 Expoでは、HTML 5、Canvas、Silverlight、IE 8、Google Chrome、Firefoxについて、専門家によるパネルディスカッションが行われた。

 本格化するブラウザ戦争を前に、Microsoft、Mozilla、Googleを代表する技術者たちが、ブラウザプラットフォームの過去、現在、未来について語った。

 「ブラウザの未来」と題して9月19日に開かれたWeb 2.0 Expoのセッションには、Microsoft IEチームのプラットフォームアーキテクトであるクリス・ウィルソン氏、MozillaのCTOでJavaScriptの生みの親、ブレンダン・アイヒ氏、そしてGoogle Chromeチームのソフトウェアエンジニア、オジャン・ヴァファイ氏が、Ajaxian.com共同創立者のベン・ガルブレイス氏とディオン・アルマー氏の質問に答えた。

 ユーザーや開発者の関心を引きつけるために火花を散らす3社のブラウザ開発チームが一堂に会したにもかかわらず、セッションは極めて平穏だった。アルマー氏とガルブレイス氏がしきりにブラウザボーイズたちを煽っても、彼らは最後まで自制的な態度を崩さず、泥を投げ合うこともなかった。だが、Ajaxianのコンビは議論を巧みに導き、MicrosoftによるWeb標準のサポートから、Googleのシェア獲得計画、あるいは新たな市場競争にどう対応するかまで、一連の鋭い質問でセッションを盛り上げていった。

 ただし、それでも開発者の不満にどう応えるかという点で、いくつかの疑問は残った。Ajaxianの2人が客席からの質問を促すと、来場者の1人が立ち上がり、Googleの新しいブラウザの発表には「ショックと恐怖を覚えた」と述べ、「現状はまるで地獄のようだ」と語り、会場全体から賛同の拍手が巻き起こった。そして彼は、パネリストたちに1つの質問を投げかけた。「あなたがたは、われわれのこうした不満にどう応えるのか?」

 その質問者が指摘したのは、開発者が常にサポートするブラウザを選択しなければならない状況に置かれていること、あるいは異なるブラウザプラットフォームで利用できるようアプリケーションにいくつものバリエーションを用意しなければならないことだった。この点について、人々は何らかの改善を求めている。それが標準化であるのか、それ以外の方法であるのかは別にして。

 Microsoftのクリス・ウィルソン氏は、テストスイートへの投資を推奨した。「テストスイートを充実させれば、問題の解決に役立つだろう」。同氏はまた、MicrosoftがInternet Explorer 8で互換性問題に取り組んでいることを強調した。一方、別の来場者が冗談めかして、MicrosoftはIE 6の息の根をとめるつもりはないのかと質問すると、「IE 6には一定のユーザーベースがあり、Microsoftは責任を持ってサポートを続けなければならない」とウィルソン氏は応じた。

 セッションではブロガーのハンク・ウィリアムズ氏が、「ブラウザは新しいOSになりつつあるか?」とパネリストたちに質問。それに対して、ヴァファイ氏は、「オペレーティングシステムとWebブラウザを比べるのは、リンゴとミカンを比較するようなもの」と述べ、「この2つはいくつかの点で類似性はあるが、まったく異なるものだ」と、Googleらしい”Do no evil(悪いことはしない)”トーンで答え、「フォントレンダリングなど、OSと競合する部分もあるが、ブラウザでどこまでOSをリプレースできるかは分からない」と率直に語った。

 もちろん、GoogleがChromeブラウザを発表したとき、多くの人々が「Googleはオペレーティングシステムのリプレースに動き出した」と興奮したことは確かだ。

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