Microsoft、Mozilla、Googleがブラウザの未来を語るOSとブラウザは比較無用か(2/2 ページ)

» 2008年09月26日 08時00分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK
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 「すでにそうした状況は始まっている」と指摘したのはアイヒ氏だ。「Windowsほど膨大な数のアプリケーションはないが、ブラウザはすでにOSを仲介している。プラットフォームの背後で別のプラットフォームが成長しつつある状態は、すでに改革が始まっていると言ってもいい」と同氏。

 ガルブレイス氏は、ウィルソン氏とヴァファイ氏の真ん中に座っていたアイヒ氏に、ブラウザ市場でMicrosoftが非常に高いシェアを占める一方、Googleがどう猛なライバルとして新規参入したことをどう思うかと質問した。それに対して、「われわれはこういう状況を待ち望んでいた」とアイヒ氏は即答した。

 「Googleは手強い競争相手だが、Mozillaにはオープンソースソフトウェアでの長い経験がある。ChromeのエンジンであるWebKitは前からあったが、Googleが本格的に取り組むことによって開発者コミュニティーに活気が生まれつつある。ただ、オープンソースという魔法の粉を振りかけただけで、すべてがうまくいくとは限らない」とアイヒ氏は言う。

 一方、Googleの目標はMicrosoftとMozillaからシェアを奪うことかと聞かれ、ヴァファイ氏は「Chromeの第1の目標は、Web開発を促進することだ」とGoogleらしい優等生的な答えを返した。そして同氏は、GoogleがHTML 5仕様の実装を計画していることに言及し、「GoogleはWebアプリケーションの発展を望んでいる。市場競争がWebアプリケーションの進化を促進するなら、それは素晴らしいことだ」と述べた。

 とはいえ、Googleも当然、MicrosoftやMozillaからシェアを奪いたいと考えているはずだ。それは実現するだろう。

 ヴァファイ氏はまた、GoogleがFirefoxの拡張機能やGreasemonkeyスクリプトのようなアドオンのサポートに積極的であることを強調し、Chromeでも双方をサポートする考えを示した。同氏によると、Greasemonkeyを開発した技術者は現在Chromeチームで働いているという。

 アイヒ氏は、「Firefoxのアドオンは不安定性の原因になる場合もあるが、イノベーションの基盤として重要な役割を担っている」と述べ、ウィルソン氏も、「アドオンはIEの一部であり、今後もプラットフォームを拡張する一般的な形式として継続される」と語った。

 MicrosoftがHTML 5のCanvasエレメントのサポートを留保しているのは、リッチインターネットアプリケーション技術のSilverlightを優先するためか、とガルブレイス氏がウィルソン氏に聞くと、「われわれはCanvasやHTML 5と呼ばれるオープン標準を選択する段階にない。Silverlightはエンドツーエンドのプラットフォームであり、IEチームのプラットフォームではない」と同氏は答え、「われわれはベクターグラフィックスの必要性を注視している。わたしはこれまで「じゃ、Silverlihgtを使おう。ベクターグラフィックスのサポートなんて必要ない」と言ったことはない。ベクターグラフィックスのサポートは、われわれの次の課題の1つだ」と述べた。

 アイヒ氏は、MozillaがCanvasやオフラインサポート、Web Workersを含む多くのHTML 5機能を実装済みであることを強調し、「FirefoxはHTML 5機能を積極的に取り込んでいる」と胸を張った。

 ヴァファイ氏は、「ChromeのHTML 5機能はすべてWebKitチームの業績だ」と述べ、Google GearsもHTML 5機能をサポートしていると付け加えた。同氏によると、GoogleはWebKitプラットフォームの拡張をまだそれほど進めていないという。また同氏は、Chromeが「Safariを目標にしていた」ことを明らかにした。

 一方、ウィルソン氏は、「ローカルストア機能など、IE 8のベータ1と2にはHTML 5仕様から取り入れたものが多い」と述べた。

 ウィルソン氏によると、IE 8は洗練されたツール群を搭載し、プロファイリング機能も追加したという。「アプリケーションを構築する場合、ブラウザに豊富なツールセットがあることは極めて重要だ。IE 8では何か問題があっても、わざわざFrontPageやVisual Studioを立ち上げる必要がない」と同氏。一方、ヴァファイ氏によると、Google Chromeは幅広いデバッギング機能をサポートしているという。

 ウィルソン氏はまた、Microsoftがブラウザ用「ジオロケーション」仕様を開発するインキュベーショングループに代表を送り込んでいることを明らかにした。ただ、「課題はユーザープライバシーだ」としている。

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