コラム
» 2008年10月09日 11時14分 公開

職場活性化術講座:リーダーは「ストーリーテラー」であれ (2/2)

[徳岡晃一郎,ITmedia]
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「自分たちの会社の意識」が重要

 また、ストーリーテリングはリーダーが基本の筋書きを示した後で、各メンバーが自分のストーリーを語ることで、よりコミットメントを高めていくことができる。自分の仕事を役割分担にしたがって、ただブレークダウンする(目標管理の手法)のではなく、自分自身のストーリーを書いていくことにより、だんだん登場人物になりきっていく。遊びの世界で我々が熱中できるのは、「なりきる」からだという。遊びの場合はやはり自分が主人公なのだ。仕事の世界でも熱中するためには、「なりきり」が必要だ。なりきる舞台設定こそがストーリーテリングというわけだ。こういう手法をストーリーの「ロールダウン」という。

 これは、企業全体の変革(チェンジマネジメント)に当って、組織全体でのベクトル合わせをするような大きな場合にも用いられる。石油メジャーのシェルが、その企業イメージを官僚的な組織からより地球に優しい先進企業に変えた際にも、100カ国以上の事業所を巻き込んで世界的な物語のロールダウンが用いられた。IBMがおこなったValue's Jamもこの例とみなすことができる。Value's Jamとは世界の全社員30万人を集めてIBMは何を価値観として大事にしていくべきかをオンラインでディスカッションしたものだ。

 このように社員のみな1人ひとりに自分のストーリーを創ってもらい、自社の針路に関する物語の一画を担ってもらうことで、なりきりを重層的に作っていくことができる。

 最後になるが、ストーリーテリングを行うマインドにはやはり「自分たちの会社の意識」が重要だ。ストーリーテリングを行いコミュニティー意識を高めると、自社意識が強まり、それが自分たちの会社の過去や未来の行方への関心を掻きたて、さらになりきったストーリー創作の原動力になる。スパイラルアップの関係ができてくる。自社の中には多くの知識や歴史、物語があるはずなのだが、しかし、得てして我々はそれらに眼が向かない。ストーリー作りのチャンスを逸しているのだ。一度、この秋の夜長に自社の過去を振り返ってみる時間を持ってはどうだろうか。

プロフィール

とくおか・こういちろう 日産自動車にて人事部門各部署を歴任。欧州日産出向。オックスフォード大学留学。1999年より、コミュニケーションコンサルティングで世界最大手の米フライシュマン・ヒラードの日本法人であるフライシュマン・ヒラード・ジャパンに勤務。コミュニケーション、人事コンサルティング、職場活性化などに従事。多摩大学知識リーダーシップ綜合研究所教授。著書に「人事異動」(新潮社)、「チームコーチングの技術」(ダイヤモンド社)、「シャドーワーク」(一條和生との共著、東洋経済新報社)など。



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