DevITでも過去に取り上げた会津若松市のOpenOffice.org(OOo)導入事例。同市のサイトで2カ月ほど前に公開された「オープンオフィス導入に関する情報公開」は、公開直後から同様の施策を検討する自治体などから熱い視線を寄せられている。そんな同市は10月8日、さらなる導入検討の材料として、導入後の発生事例とその解決法などを公開した。
今回新たに公開された情報は、自治体業務におけるOOoの活用時に指摘されやすい問題を中心にまとめたもの。
例えば、自治体業務に欠かせない外字に対する取り組みで新たな解決策を示している。これまで同市は外字の扱いについて、OOoのインストール時に併せてインストールされるOpenSymbolフォントを削除することで取りあえずの対応としていたが、同ファイルを削除したことで個条書きの先頭記号の一部に外字が表示されてしまうとい新たな問題に悩んでいた。試行錯誤を進めた結果、コマンドラインから次のようなコマンドを実行することで、OpenSymbolを削除することなく外字が正確に表示されることを確認したという。
copy /y c:\windows\fonts\eudc.tte c:\windows\fonts\eudc.ttf
また、専用の機械で読み取るために作られたフォント「OCRB」について、フリーなものが存在していないことからOCR読み取り部分の文字をうまく印字できなかった問題については、何と自らOCRB代替フォントを作成、これに対応している。なお、このフォントはCreative Commonsライセンス(CC2.1 BY-NC)で公開された。
従来利用していたマクロ資産の活用にも積極的に取り組んでいる。OOo 2.4以降、VBAマクロの再現性が向上しているといわれるが、同市のケースでも従来のVBAマクロの一部を少し変更することでほぼ期待通りの動作を再現できたものも幾つか出てきたとしている。
もちろん、根本的な解決のためにはOpenOffice.org自体の対応や、同市以外の自治体などとの協調が欠かせない問題も数多く残っていることは同市も資料内で触れている。しかし、すべてが不可避な問題でないことを試行錯誤しながら明らかにし、かつ、その情報を広く公開している同市の活動は何か強い信念に支えられているようにも見える。
徒然草第52段に記されている「少しのことにも、先達はあらまほしきことなり」という言葉。会津若松市は、OpenOffice.orgの導入を検討するほかの自治体にとって、まさに先達として振る舞っている。同市の活動を高く評価するとともに、ほかの自治体が同市の情報を参考にしながら追随することを願いたい。
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