神田商店街に地デジの電子看板 地域活性の切り札にデジタルサイネージ最前線(2/2 ページ)

» 2008年10月11日 08時55分 公開
[藤村能光,ITmedia]
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回線いらずでデジタルサイネージ普及の足かせを払しょく

ストリートメディアの谷浩志氏と八田斉明氏 ストリートメディアの谷浩志氏(左)と八田斉明氏(右)

 通常のような、ネットワーク経由でコンテンツを再生するデジタルサイネージは、設置台数が増えると設備や配線の設置コストも膨れあがる。

 「10台設置したら回線コストは10倍になる。運営費の増加に伴い、広告費も上がるといった負のスパイラルが起きる」。八田氏はこのコスト構造が、デジタルサイネージ普及の足かせになっていると指摘する。

 同社が検証している仕組みは、コンテンツを配信する光ファイバーなどの回線を必要としない。運営に掛かるコストは「従来のデジタルサイネージの半分程度」(八田氏)に抑えられる。

 実証実験で得られた知見を生かし、2009年をめどに商用化にこぎ着ける。「(コストが抑えられるとして)既に7、8件の引き合いがある」(ストリートメディアの谷浩志取締役)など、顧客の期待も高まりつつある。同社は3年後に40億円の売り上げを掲げており、滑り出しは上々のようだ。


 同実証実験は、経済産業省の「平成20年度中小商業活力向上事業の第二次公募」にも採択された。

 商品が売れず相次いで閉鎖した店舗が立ち並ぶ「シャッター商店街」が現れるなど、集客に弱点を持つ店舗は少なくない。今回の実証実験が商用化すれば、店舗は訴求力の高いコンテンツを配信できるデジタルサイネージを低コストで導入できるようになる。

 今後の課題は「デジタルサイネージという新たな業態をいかにして認知してもらうか」(八田氏)にある。谷氏は「日本初の試みとして、まちづくりや店作りの指針となるように実証実験を成功させる」と力を込める。

 地デジとデジタルサイネージの緊密な連携が店舗と顧客の間に橋を架け、地域の活性化させる切り札として浮上してくるかもしれない。

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