Ruby on Railsとエンタープライズを結び付ける「Merb」Focus on Technology(1/2 ページ)

Engine YardがWeb開発フレームワーク「Merb 1.0」をリリースした。開発担当者によると、これはRuby on Railsに似ているが、エンタープライズアプリケーションの開発に適したデザインとなっているという。

» 2008年10月15日 17時24分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 Ruby/Ruby on Railsアプリケーションのクラウド配備用のオープンソースツールのプロバイダーであるEngine Yardは、同社初のオープンソースフレームワークとなる「Merb」の最初のメジャーリリースを発表した。

 Engine Yardは、10月11〜13日にサンディエゴで開催された「MerbCamp」においてMerb 1.0をリリースした。同社のソフトウェア技術者でMerbの開発を担当したイェフーダ・カッツ氏によると、Merbは高速、高性能なRubyアプリケーションの開発に適したデザインとなっている。Ruby on Railsと同様、MerbはMVC(モデル・ビュー・コントローラ)フレームワークだが、(モノリシックではなく)モジュラー型アーキテクチャを特徴とし、最小限のクリーンなコアを備える。コアはシンプルで組織化されており、拡張も容易だという。

 Merbプロジェクトの創始者で、Engine Yardの共同創業者のエズラ・ジグムントビッチ氏は「Rubyは現在も、普及という点においては最も急成長中のプログラミング言語の1つである。Merbは、Rubyアプリケーションを開発するためのもう1つの選択肢をRubyプログラマーに提供する。今回のMerbのリリース、そしてプロジェクトの開始以降、われわれが目にしたコミュニティーの盛り上がりは、健全で強固なRubyエコシステムの証となるものだ」と発表文で述べている。

 「MerbはRuby on Railsが世界に教えたことを取り入れ、人々がRubyを利用してより複雑なアプリケーションを開発できるようにすることを目指したものだ」とカッツ氏は説明する。

 「Rubyに恋をし、Rubyが長きにわたって存在すると感じた人はたくさんいる。そして彼らはもっと強力なものを求めたのだ」(同氏)

 カッツ氏によると、Merbは拡張可能なプラグイン式アーキテクチャを採用している。Merbのコードベースは必要最小限に抑えられているが、柔軟なルーティング、プロセスグループに対するきめ細かなコントロール、コヒーレンシが維持されたスタックなど、強力な機能を提供するという。標準のジェムを利用して追加機能をフレームワークにプラグインすることができる。さらに、ORM(オブジェクトリレーショナルマッピング)ツール、JavaScriptライブラリ、テンプレート言語については、Merbは特定の仕様に依存しないため、プログラマーには広範な選択肢が与えられる。

 Howcast Mediaの開発者によると、彼らがMerbを気に入っているのは、軽量で可搬性のあるアプリケーションフレームワークをMerbが提供し、データベース駆動型Webサイトを素早く開発できるからだという。また、Merbが高いパフォーマンスと拡張性を目指してスクラッチから作られたことも魅力だとしている。

 Merbでは、開発者がアプリケーションに必要なコンポーネントを選べるので、タスクで使用しない(あるいは適していない)コンポーネントが含まれる大規模なアプリケーションを維持するオーバーヘッドを避けることができる。これはHowcast.comサイトにとってはメリットである。というのも同サイトでは、サードパーティーのサービスと連携するために多数のプラグインやRubyジェムを利用しているからだ。拡張型アーキテクチャを備えたMerbでは、ユーザーが容易にサードパーティーのコンポーネントをアプリケーションに組み込み、可搬性を高めることができる。

 Howcast Mediaで技術ディレクターを務めるラッセル・ターガ氏は「Merbは可搬型アプリケーションを開発するための素晴らしいフレームワークだ。われわれはMerbを利用して大いに成功した。今後もHowcast.comの拡張を進めるに当たり、Merbをさらに活用するつもりだ」

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