シュミット氏がオバマ候補の遊説に参加へ――Googleにとって裏目に出る恐れも(1/2 ページ)

Googleのエリック・シュミットCEOが、民主党大統領候補のバラク・オバマ氏の選挙遊説に同行する考えだ。Googleによると、シュミット氏とオバマ氏は、ITに関する考え方が近いという。しかし共和党大統領候補のジョン・マケイン氏が選挙に勝った場合、シュミット氏の行動が裏目に出る恐れがある。

» 2008年10月22日 08時00分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 既にわたしの「Google Watch」ブログに書いたように、Googleのエリック・シュミットCEOは民主党大統領候補のバラク・オバマ氏の遊説に同行する考えだ。

 シュミット氏がWall Street Journal紙に語ったところによると、同氏の選挙協力は個人的な理由に基づくものであり、Google全体の政治的見解を反映したものではないという。ワシントンにいるGoogleの広報担当者もこの立場を確認し、わたしに次のように説明した。

 「エリックがバラク・オバマ氏の選挙活動を積極的に支援しているのは、彼もアメリカが変わるべきだと考えているからだ。加えて、ITとエネルギーに関する彼の個人的な考え方はオバマ上院議員の考えに近い。Googleはもちろん、この選挙で中立の立場を守っている」

 しかし、オバマ氏のライバルである共和党のジョン・マケイン大統領候補が11月4日の選挙で勝利するようなことがあれば、シュミット氏の行動は裏目に出るのではないかと思えてならない。

 Googleは自社の検索広告手法がプライバシー関連の法規制に違反しないことを政府に納得させる必要があり、また、現行のプライバシー関連法が強化されないよう願っている。マケイン氏が勝てば、Googleのような企業はどんな立場に立たされるだろうか。

 Googleが政治色を鮮明にするわけにはいかず、特定の党派に肩入れしてはならないのは明らかだ。しかし同社のシュミット氏には、自社に影響を与える可能性のある技術的問題に関する見解を打診するために、大統領候補と親しく付き合うことが認められているのだ。

 当然ながら、そういった行動は軽率だと考えている政治評論家もいる。シュミット氏とGoogleは否定しているものの、同氏の行動がGoogleの政治的姿勢を反映したものだと見なす人もいるだろう。

 Center for Digital Democracyのエグゼクティブディレクター、ジェフリー・チェスター氏は次のように語っている。

 「Googleはオバマ大統領候補を応援するよりも、ほかにやるべき仕事がいっぱいある。シュミット氏は経営者の立場として、自分の個人的な政治的立場を公にすべきではなかった。同氏の行動は、新政権に取り入って影響力を高めるのが狙いだと思われる」

 チェスター氏によると、議会はオンラインプライバシー問題に取り組む方針であり、これはGoogleの将来の経営基盤にとって重大な脅威になるとみられている。たとえ個人的な理由からであれ、まだ誕生していない将来の政権に接近しすぎるのは、Googleにとって危険だという。

 「シュミット氏がオバマ氏を応援するのは、心から支持しているからであるのは間違いないにせよ、Googleとオバマ政権との将来の関係に、利害の抵触という疑念を投げ掛けるものである。同氏の行動は実際、将来のオバマ大統領を危うい立場に追い込む可能性がある。シュミット氏はコリン・パウエル将軍ではない。彼の居場所はマウンテンビューにあり、遊説に同行すべきではない。誰にも知られないように、そっと資金援助をするだけでよかったのだ」

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