日本への訴求強化と次世代UTM構想を表明――WatchGuardのワンCEOUTMに拡張性を

米WatchGuardのジョー・ワンCEOは、国内市場への取り組み策と次世代型UTMという「XTM」の構想を明らかにした。

» 2008年11月13日 10時30分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 米WatchGuard Technologiesのジョー・ワンCEOがこのほど来日し、日本市場における取り組みと次世代型UTM(統合脅威管理)として同社が提唱する「XTM(拡張型脅威管理)」の推進を表明した。同氏に具体的な施策とXTMの特徴を聞いた。

―― 2月に来日した際に日本市場への取り組みを強化すると表明しましたが、具体的にどのような施策を進めているのでしょうか。

ワン 主には経営体制の刷新と販売パートナーの拡大、マーケティングの強化、製品の日本語化です。UTM市場の動向やわれわれの売り上げ比率からみても、欧米以上に成長が見込まれる市場です。

ジョー・ワンCEO

 販売拡大のために、企業顧客に精通した人材の採用や技術サポートおよびマーケティングの強化によるパートナー支援の推進、ユーザーインタフェースの日本語化をはじめとする製品の日本市場への対応を推進しています。本社と日本法人との連携もこれまで以上に密となり、例えば日本ブロードバンド環境で広く利用されているPPPoEへの対応といった実績がいくつか実現しています。

―― どのような企業顧客にアプローチしますか。また、UTMの特徴をどのように訴求されるのですか。

ワン これまでは500人規模の中堅企業が中心でしたが、今後は小規模企業と大規模企業の領域にも広げたいと考えています。

 UTMのメリットは、ファイアウォールやアンチウイルスなどの各種セキュリティ機能を1つの筐体に統合することによる導入や運用管理の手軽さ、コストパフォーマンスが注目されていました。近年は、セキュリティ攻撃の複雑性が増し、個別の対策を併用するだけでは対応できなくなりつつあります。特に欧米の企業では、UTMにセキュリティ対策を統合することで、セキュリティホールを生まないようするという導入目的が広がりつつあります。

 われわれのUTMは、管理の容易性とパフォーマンスの可視化を重視しています。簡単なドラッグ&ドロップだけで設定操作ができる、ブロックした不正アクセスの内容やウイルスの状況などをグラフで分かりやすく見せるといったものです。将来的には、IBMのTivoliなどの運用管理ツールと連携を図っていく計画です。

―― 「XTM」とはどのようなものでしょうか。

ワン XTMは既存のUTMと全く異なる存在ではなく、既存のUTMの延長線上に立つものになります。製品は2009年初頭のリリースを計画していますが、既存ユーザーに対して新たな拡張性を提供できるようになります。

 具体的には、「セキュリティ対策」「ネットワーク」「管理機能」の3つで新たな機能を提供する予定です。一例を挙げると、セキュリティ対策ではSSL VPNやHTTPS通信への対応、VoIPの保護です。ネットワークでは、高可用性の提供やクラスタリングへの対応、管理機能ではCIOなど経営層に対するセキュリティ報告書の作成といった可視化を支援する機能などを盛り込む予定です。

 ユーザーは既存のUTM装置にXTMの装置を追加するだけで利用でき、複数の装置であっても1つのシステムとして運用できるでしょう。これによって、セキュリティ機能を拡張する、ネットワークパフォーマンスを高める、セキュリティ投資の効果を可視化するといったことができるようになります。

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