中小企業向けFTTH専用線、ソフトイーサがサービス化コストは大手の半額程度

筑波大学発のVPNソフトウェア開発会社ソフトイーサが1GbpsのFTTH専用線サービスをベンチャーや中小企業向けに開始する。大手事業者の半額以下で利用できるという。

» 2008年11月26日 08時30分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 筑波大学発のVPNソフトウェア開発会社ソフトイーサは11月25日、光ファイバを利用した企業向けの専用線サービス「HardEther」を12月1日から始めると発表した。大手通信事業者のサービスに比べて半額以下で利用できるという。

 サービス開始当初の提供エリアは、東京と神奈川、埼玉、千葉、茨城の一部で、通信速度は最大1Gbps。サービス保証レベル(SLA)を、最低800Mbpsのスループット、パケットロス率0.05%以下、転送遅延0.46(市内間)〜5.00ミリ秒(異なる都県間)以下としている。

つくば市のサイバーダインと筑波大学間のスループット状況

 サービス内容は、専用線のみを提供する「バリュータイプ」と専用線1回線およびバックアップ回線(NTT東日本の「Bフレッツ」とソフトイーサのVPNソフトウェアによるVPN回線)を提供する「ベーシックタイプ」、専用線2回線(1回線は予備)とバックアップ回線を提供する「エンタープライズタイプ」の3種類。

 料金は初期費用6万円と工事費のほか、月額料金が同一市内間接続で18〜31万円、市外間(同一都県内)が31〜38万円、異なる都県間が38〜106万円となる。小規模企業や教育機関のバリュータイプユーザー向けに初期費用が半額、月額料金が5万円それぞれ割引になるプランや、長期利用および複数回線の契約者の割引サービスも用意する。

 月額料金は、NTT東日本やNTTコミュニケーションズ、KDDIなどの大手通信事業者が提供するもので約194〜312万円(同一都県の市外間接続で1Gbpsサービスを利用した場合)となっており、HardEtherの場合は半額以下で提供できるという。

登氏。サービス化のきっかけはサイバーダインからの相談だったという

 安価に提供する理由について、登大遊会長は「全国規模の自社回線を持たず、また、サポート対応を簡素化したことで、ベンチャー企業でも利用しやすいサービスを目指した」と話す。サポート対応は、顧客の依頼から2時間以内に現地訪問などをできるようにするが、原則として同社の営業時間のみとなる。スタンダードおよびエンタープライズサービスではリモートからの死活監視も行う。機器の故障などの場合、修理などに数日を要する場合があるという。

 また、返金対応の条件は15分間以上の通信障害の場合で、月額料金から障害時間を算出して金額を決める(スタンダードおよびエンタープライズは2倍の金額)。「通常時のサービス品質は大手と遜色ないものの、サポートは及ばない部分もあり、ミッションクリティカルな通信用途には向かない」(同氏)

 同社では、バックボーンにTOKAIなどの広域通信サービス事業者のネットワークを利用するほか、機器の保守、メンテナンスでは三栄通信工業、東電工と提携。販売は自社のWebサイトで行うが、将来的に代理店制度も導入する予定。ぷらっとフォームなどが提携を検討している。

 サービスの狙いについて、登氏は「われわれのようなベンチャー企業や中小企業にとって、既存サービスは高額であり、容易に利用するのが難しい。そうした悩みを抱える企業を支援したいと思い、通信事業への参入を決めた」と話した。

サイバーダインCEOの山海筑波大学教授。同社での利用例

 ファーストユーザーとして、ロボットスーツ「HAL」などを開発するサイバーダインが、茨城県つくば市内の本社およびショールーム、筑波大学間に同サービスの専用線を開設した。CEOを務める筑波大学の山海嘉之教授は、「ネットワークを通じたHALのメンテナンスや遠隔医療サービスなどに活用したい。将来的には海外の研究機関とも接続できるようになるなどの発展を期待している」という。

 ソフトイーサでは初年度に50〜300回線、2年目以降に200〜600回線の利用を見込んでいる。

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