時代はオープンソースからリーンソフトウェアへ逆襲のMicrosoft(1/2 ページ)

2009年のソフトウェア開発シーンを予測するForresterのアナリスト、ジョン・リマー氏は「MicrosoftはPaaSでIBMとOracleに打ち勝つ。Microsoftはクラウドベースのモデルの開発では、IBMやOracleよりアグレッシブだ」と話している。

» 2008年12月10日 14時56分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 リーンソフトウェアとは、よりシンプルに、ムダを省いてソフトウェアを開発するアプローチのことだ。Forresterのアナリスト、ジョン・リマー氏は「アプリケーション開発産業が発展するためには、次の開発パラダイムとして、リーンソフトウェアにシフトしなければならない」と語る。リーンソフトウェアは、肥大化したベンダー、製品、アプリケーションを矯正し、不況対策としても有益だと同氏は力説する。リマー氏はまた、Sun Microsystemsが生き残れないかもしれないなど、アプリケーション開発市場の今後について、いくつか興味深い予想を展開した。

 フロリダ州ハリウッド――ソフトウェア産業はオープンソースで大きく変貌したように、今後は可能な限りシンプルさを求め、複雑さを避ける新しいパラダイム、「リーンソフトウェア」へシフトしていく必要がある。そう語るのは、Forresterのアナリスト、ジョン・リマー氏だ。

 「これはいずれ大きな流れになる。いま多くの個人が個別に行っているが、リーンソフトウェアは将来のトレンドになるだろう」。Spring開発者を集めた年次カンファレンス「SpringOne Americas」で、リマー氏はそう述べた。同氏のリーンソフトウェアに関するメッセージは、SpringOneに参加した聴衆には、とくに適切なものだった。なぜならSpring Frameworkこそ、リーンソフトウェアの典型的な例であるからだ。Springは、J2EE(Java 2 Platform, Enterprise Edition)とEJB(Enterprise JavaBeans)の“複雑さ”やヘビーさ”を撃退するために開発された。

 リマー氏は、リーンソフトウェアを次のように定義した。

 ――ソフトウェアを構築、配備、実行するための1つのアプローチであり、合理的、かつシンプル、とりわけ結果を早く出すことが重視される。リーンアプローチは、複雑さ、スタートアップの時間、リソースの利用を最小化し、アプリケーションのビジネス目的に本質的に必要のない機能、手法を排除する。大規模なシステムでより多くの機能が必要な場合、開発者はリーンソフトウェアのコンポーネントを組み合わせることができる。

 リマー氏はまた、リーンソフトウェアに関する7つの基本原則をリストアップした。第1は、「目的に見合ったツールとプラットフォームを利用する」。第2は、「リーンおよびアジャイル開発プロセスを導入する」。第3は、「ツールやアプリケーションに対してコンポーネントをプラグ接続できるようにするため、各種の標準に準拠する」。第4は、「スキルを持った開発者を雇う」。第5は、「オープンソースを活用する」。第6は、「配備を最適化する」。そして第7は、「コンテキストはレンタルまたはアウトソースし、コアアプリケーションは所有する」

 リマー氏は開発者が直面するさまざまな苦痛について、リーンがそれらを取り除く“鎮痛剤”になるとしている。例えば、EJBコンテナはヘビーなコンフィギュレーションを要求するが、Springはその痛みを緩和してくれる。また、WS-SOAP(Simple Object Access Protocol)ベースの仕様は複雑だが、その問題にはREST(Representational State Transfer)が有効だ。リマー氏が挙げるもう1つの例は、Java EEと.NET開発である。どちらもハードで楽しくない。それに対するリーンソフトウェアの回答は、Ruby、Perl、Pythonなどのダイナミック言語の利用だという。プロジェクトの期間が長くなり過ぎ、失敗に終わることが多いのも、開発者の苦痛の1つだ。それにはアジャイル開発手法が役立つ。「開発者とユーザーをつなぎ、素早く的を絞ることが可能になる」とリマー氏。

 さらにリマー氏は、ヘビーソリューションを柔軟に代替できるものとして、OSGi(Open Services Gateway Initiative)、SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)、PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)を挙げた。

 「これらは急速に進化しつつあり、ライトウエイトコンテナなどより重要だ」と同氏。

 ただし、「リーンがすべての問題を解決できる、と期待してはいけない」とリマー氏は警告する。「リーンソフトウェアは複雑さをシフトしても、完全に払拭するわけではないからだ。リーンは開発者を先導してくれるが、ほかの人々にもそれが有効であることを説得する必要がある」

       1|2 次のページへ

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

注目のテーマ

あなたにおすすめの記事PR