司法省、ハイテク企業の合併を独禁法違反で提訴軍事や宇宙開発に影響か

米司法省は、高性能アナログ混在統合回路メーカーのMicrosemiが競合企業のSemicoaを2500万ドルで買収したのは独禁法違反だとして同社を提訴。Microsemiは断固として戦う姿勢を表明した。

» 2008年12月22日 12時01分 公開
[Roy Mark,eWEEK]
eWEEK

 Microsemiは12月19日、米司法省が同社を独禁法違反で提訴したことに断固として対抗する姿勢を表明した。司法省では、Microsemiが競合企業のSemicoaを2500万ドルの現金で買収したのことは、軍事/宇宙開発プログラムで使用される半導体デバイスの開発、製造、販売における競争を排除するものだと主張している。

 カリフォルニア州アーバインに本社を置くMicrosemiは、高性能アナログ混在統合回路と高信頼性半導体のメーカー。同社は7月、半導体とスマート爆弾用オプトエレクトロニクス製品、アナログ混在統合回路などを専門とするSemicoaを買収すると発表した。

 司法省の訴状によると、この買収は、国防総省の標準に準拠した小信号トランジスタの独占をもたらしたという。また、国防総省の標準に準拠した超高速回復整流ダイオードの競合企業の数が3社から2社に減ったとしている。

 司法省の反トラスト局司法副長官代理、デボラ・A・ガーザ氏は「司法省およびNASAが使用する重要な軍事/航空宇宙システムは、小信号トランジスタおよび超高速回復整流ダイオードの性能に依存している。司法省が提訴に踏み切ったのは、これらの重要部品の価格設定と迅速な供給の両面における競争が顧客にもたらすメリットを回復するためである」と発表文で述べている。

 ガーザ氏によると、防衛業界内部の再編が恩恵をもたらすこともあるが、MicrosemiとSemicoaの合併は「価格の上昇、サービス品質の低下、供給の不安定化」という結果を引き起こすという。

 司法省では、MicrosemiがSemicoaの資産を売却することによって合併を解消するよう命じることを裁判所に求めている。さらに司法省は、裁判期間中にSemicoaの資産を保全する仮処分も要求している。

 また司法省の訴状は、MicrosemiがSemicoaを買収した後、Microsemiは国防総省に認定された小信号トランジスタを大幅に値上げしたと述べている。司法省によると、宇宙、軍事、民生用途向けの電子部品に関しては、業界各社は国防総省の標準に頼っているという。

 Microsemiは12月19日、同社が2008年にSemicoaの資産を買収する前年の2007年にSemicoaが製品の販売で得た収入は約830万ドルだったと、訴状に記載されていることを明らかにした。Microsemiの2008会計年度の収入は5億1410万ドルだった。

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