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» 2009年01月16日 06時00分 公開

堅実な手腕に期待:アナリストはYahoo!の新CEO指名を歓迎

IDCとAltimeter Groupのアナリストは、Yahoo!がキャロル・バーツ氏をCEOに指名したことを好意的に評価している。厳格な経営スタイルで知られるバーツ氏は、検索、クラウドコンピューティング、アプリケーション開発の方針が揺れ動く同社の経営立て直しに手腕を発揮するものと期待されている。

[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 噂は本当だった――Autodeskのキャロル・バーツ元CEOが1月13日、Yahoo!創業者のジェリー・ヤン氏の後任としてCEOに選ばれたのだ。今回の人事は、苦悩するインターネット企業Yahoo!の経営立て直しに向けた動きの1つである。

 バーツ氏は、14年間にわたってCADソフトウェアメーカーAutodeskのCEOを務め、売上高を3億ドル足らずから15億ドル以上に拡大した功績の持ち主。同氏はSun Microsystems、Digital Equipment、3Mで勤務した経験もあり、エンタープライズ分野に強みがある。

 今回の指名に関してアナリストが不安に感じることがあるとすれば、それはバーツ氏の経歴がエンタープライズ市場中心であったことだろう。Yahoo!はWebサービスを中心としたメディア企業なのである。バーツ氏がメディア志向のバックグラウンドを持っていないことは、プラスであると同時にマイナスでもあるというのがアナリストらの見方だ。IDCのアナリスト、カーステン・ワイド氏はeWEEKの取材で次のように語っている。

 「明らかなマイナス面は、同氏がメディア型の人間ではないということだ。しかしそのことは、現時点ではYahoo!にとって主要な問題ではない。現在のYahoo!の主要な問題は経営問題であり、同氏は強い実行力の持ち主だ。同氏はプロセスが得意であり、それこそYahoo!が現在必要としている能力だ。同社はYahoo!の現状を新鮮な視点から捉え、組織と製品ポートフォリオの両面における混乱を収拾できる外部の人間を必要としているのだ。彼女が提供できる大きな強みはそこにある」

 ワイド氏の言う混乱とは、GoogleとMicrosoftが検索やオンライン広告をはじめとするWebサービスをめぐる戦いの準備を整えているのに対して、Yahoo!はどの資産を手元に残し、どれを放棄するかを決めるのに四苦八苦している状況を指している。

 同社は人員削減を実施したのに加え、「Brickhouse」や「Kickstart」などのプロジェクトを中止した。

 さらに悪いことに、Yahoo!では人材流出も起きている。検索部門の幹部のキ・ルー氏はMicrosoftに移籍した。Yahoo! del.icio.usの創業者であるジョシュア・シャクター氏は今週、Googleでの勤務をスタートした。同氏は2008年6月にYahoo!を去った。

 Yahoo!が不調である原因の1つは、Microsoftが2008年に仕掛けた446億ドルの買収を阻止するために多大なエネルギーを費やしたことである。この戦いでYahoo!は消耗し、ジェリー・ヤン氏は荒波の中で同社の舵取りをする能力の欠如をさらけだした。

 「この面では、技術企業出身で実行力があるバーツ氏の方が秀でている。Yahoo!の最大の財産である検索とディスプレイ広告ビジネスを維持する上で、同氏の経歴は貴重だ」とワイド氏は語る。

 ワイド氏はまた、ヤン氏が以前の「Chief Yahoo!」という肩書きに復帰し、Yahoo!がマーケティングで必要としている「クール」な要素を維持する役割を果たすようになることも歓迎している。

 Altimeter Groupのアナリスト、シャーリーン・リー氏によると、バーツ氏がYahoo!の現状を分析し、状況を好転させるには、しばらく時間がかかりそうだという。「しかし同氏は非常に経験豊富なCEOであり、経営手法を心得ている。同氏は強いリーダーシップを発揮し、必要とされている抜本的な改革を断行するだろう」と同氏は話す。

 リー氏は、バーツ氏がYahoo! Open Strategyを継続することを望んでいるという。これは同社が2008年半ばに立ち上げた戦略で、Yahoo! SearchとYahoo! Mailアプリケーションをつなぎ直し、外部のプログラマーが検索機能やソーシャル交流機能を改善できるようにするというもの。さらにリー氏は次のように述べている。

 「最大の課題は、これらの戦略に取り組んでいるすべてのスタッフ、すなわちYahoo!の従来の戦略および新しい戦略に携わるスタッフが連携して共同で取り組みを進めることだ。特にこういった厳しい経済状況においては、バーツ氏は優先順位を決め、どのプロジェクトに予算を付け、どの予算を削るかを決めなくてはならない。お気に入りのプロジェクトが棚上げになることで、がっかりする人もたくさん出てくるだろう」

 さらにリー氏によると、これまでのYahoo!の優柔不断な経営陣に代わり、なすべきことを決定し、その計画を遂行するリーダーが登場したのは喜ばしいことだという。

 バーツ氏は1月13日、経営会議に出席するために報道関係者とアナリスト向けの電話会見を早々と打ち切るなど、既に同氏の厳格な姿勢をのぞかせている。AllThingsDigitalのカーラ・スウィッシャー氏は、バーツ氏の1992年のプロフィールを紹介している

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