コラム
» 2009年01月16日 15時07分 公開

サバイバル方程式:慣例人事の中でCIOを埋没させてはならない (1/2)

コストを最小限に抑えながら、事業そのものや業務の全体最適化を進めるには、CIOの役割がますます重要になる。そんな中で、持ち回りの慣例人事の一部としてCIOを位置づけてはいないだろうか。

[増岡直二郎(nao IT研究所),ITmedia]

高度な目標に到達するために必用なこと

 昨年7月の「サバイバル方程式」で、「専任型CIOを設置した企業の方が、意思決定の迅速化など経営面で優れている」というテーマを扱った。しかし、そのときは問題提起が主だったので、ここで改めて「専任型」CIOの必要性について、混迷する現場の実態を見ながら検討してみよう。何かと危機が叫ばれる中、ITで行う企業改革について考える上で重要な意味を持つと思う。

 某中堅企業A社のCIO職は、常務取締役総務部長が兼務していた。歴代の総務部担当役員が、情報システム部(以下、情シ)を管掌するという慣例だった。総務部長は抵抗もなく兼務の辞令を受けていたが、そもそも総務部長になる人材のキャリアから言って、ITに対する知識も経験も関心も全くなかった。それでも前任のB総務部長はITに若干の関心があったようで、2〜3カ月に1回だが情シの部屋をぶらりと訪ねて、部員と談笑をしていた。IT投資伺い書をトップに説明するときは、情シ部長に説明をさせ、自分は一切発言しなかったが、常にかたわらに付き添っていた。ただそれだけのことで、IT戦略を練るわけでもなければ、役員会に業務改革を提案するわけでもなかった。それでも、たまに情シの部屋を覗くことは、少なくとも情シ構成員のモラールに好影響を与えた。

 しかし、現任のC常務取締役総務部長はITに対する関心は全くない。情シの構成員と接触しようという気持ちもなければ、IT投資伺い書のトップへの説明は情シ部長に任せっぱなし、情シ部長が何か相談に行ってもわずらわしそうに対応するので、両者の間はほぼ断絶状態だ。IT戦略などあろうはずがない。

 いずれの場合も、CIO職が全く機能していない。この場合は典型的な例だが、「兼務」という場合は、本質的に同じようなものである。

 また某大企業D社で、CIOに任命されていたE情シ本部長はCIO専任ということになっていたが、企画室長も兼務しており、しかも準役員(社内役員扱い)だった。

 従って、Eは企画室の業務を副室長にほとんど任せていたとはいえ若干手はとられたし、役員ではないので役員会に出席はできなかった。専任CIOとは言われながら、社内におけるその存在感は軽かった。J-SOX法に対応する場合も、Eは社内の根回しに奔走したが、トップの真の理解は得られなかったし、周囲の協力も得られなかった。プロジェクト遅々として進まず、Eが社内を駆け回っているうちに半年が過ぎて何も起こらなかった。Eは、とうとう経理担当役員に泣きついて協力を求めた。ここで、はじめて事態が動き出した。

 単に業務の省人化だ、効率化だと言ってIT導入を画策しているうちは、兼務のCIOでも、非力な準専任CIOでもさほど問題ではなかったが、J-SOX法への対応や、全体最適化・企業資産の最大化・価値の創造など高度な目標に挑戦するためにITを活用するとなると、問題が表面化してくる。A社のように時代にそぐわない自社の慣例人事の中でCIOを埋没させていては、ITを機能させることは難しい。

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