「Change」―― 先週20日に米国大統領に就任したオバマ氏の決め言葉にあやかって、先週、明らかになった最新のIT業界動向から「Change」の予兆を探ってみたい。
先週は、オバマ米大統領誕生のニュースで世界中が沸いた。未曾有の経済危機が世界中を襲っている中で、オバマ大統領の手腕に米国民のみならず、世界中が大きな期待を寄せている。
そんな中、オバマ大統領の20日の就任演説は、選挙戦での聴衆を熱狂させるスタイルを封印した厳粛なものだった。象徴的だったのは、オバマ氏が選挙戦で決め言葉として使っていた「Yes, We Can」が一度も出てこなかったことだ。「Change」も二度しか出てこなかった。
大向こうから喝采を集めるような言葉は控え、米国が置かれている危機の現状や過去の歴史、今後のあるべき姿を冷静に指摘する姿勢が印象的だった。
もう1つ、就任演説で印象的だったのは、およそ200万人が集結したという聴衆の“空気”が、演説が進むにつれて変わっていったことだ。最初は高揚感に酔いしれた選挙戦と同様の雰囲気があった。それが、明らかに変わっていくのがテレビ中継からも読み取れた。まさしくオバマ大統領が仕掛けた壮大な「Change」のメッセージだった。
さて、今回はそんなオバマ氏の決め言葉にあやかって、先週、明らかになった最新のIT業界動向から「Change」の予兆を探ってみたい。
まず、深刻な経済危機の中で、IT企業もいよいよ本格的な「Change」を図っていかないと、サバイバル競争に生き残れないことを強く感じさせたのが、米Microsoftが22日に明らかにした従業員5000人削減計画だ。なぜかといえば、同社がこれほどの人員削減を実施するのは、創業以来初めてだからだ。
米国の大手IT企業が人員削減を行うのは珍しくない。現状もSun MicrosystemsやIntelが、5000〜6000人規模の人員削減に踏み切っている。しかし、創業以来、大規模な人員削減には手をつけることのなかったMicrosoftが今回の計画を打ち出したことは、IT業界を取り巻く環境が一層厳しくなってきている状況を物語っているといえる。
Microsoftは今回の人員削減計画を今後18カ月の間で実施するが、5000人のうち1400人は22日付けで削減した。対象となるのは、研究開発や営業、マーケティング、財務、法務、人材、技術の各部門。この計画により、年間の営業経費を約15億ドル、2009年会計年度の設備投資を7億ドル削減できる見通しだという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.