企業ITサービスを支えるブレードサーバ

仮想化時代のPCサーバ選択ポイントとはアナリストの視点(2/3 ページ)

» 2009年02月05日 15時18分 公開
[岩上由高(ノークリサーチ),ITmedia]

 こうした意識のギャップが生じる理由は、サーバ運用管理におけるユーザーとシステムインテグレーター/販社の役割分担の境界線にあるからだ。中堅中小企業ではオフコンが残存するケースもまだまだ多い。それらを保守運用するのは古くからユーザーとの関係を築いているメーカー系の販社である。

 一方、独自開発のWebアプリケーションは独立系のシステムインテグレーターが担当することが多い。メーカー系販社も独立系システムインテグレーターもユーザーが所有する全てのサーバの管理を担うことはできない。結果としてユーザー自身がサーバ管理を行わざるを得なくなる。当然、セキュリティ確保もユーザーの責務となる。

 2008年後半頃から、ユーザーがサーバ管理における課題として挙げる項目として、運用管理負荷軽減よりもセキュリティや事業継続性の強化を挙げる傾向が徐々に強まってきている。不況の影響もあり、自社の存続に直接的な影響を与える事象への対策に絞ろうとする動きが見られるのである。

 可能な限りコストを抑えると同時にセキュリティや事業継続性を強化するための手段として考えられるのが、サーバ運用管理の外部委託である。「所有から利用へ」の流れや、IT運用管理コスト削減ニーズから、サーバ運用管理についても今後は外部委託の割合が増えると予想される。中堅中小市場を対象とするシステムインテグレーターや販社としてもユーザーのサーバを預かって管理運用するサービス拡充が求められてくるだろう。

 そうなると、一気に話は変わってくる。これまでの論旨はあくまでユーザー企業内にサーバを設置することを前提としていた。しかし、システムインテグレーターや販社が自らサーバを運用するとなると、運用管理コストをいかに削減するかが収益に直接的な影響を与えることになる。可能な限りラック本数を減らし、複数ユーザーの情報システムを同一の物理サーバ上に同居させることで、コスト削減と運用管理負荷の軽減を両立させる。それを実現するための手段として仮想化技術が有効であることは言うまでもない。これが、中堅・中小市場を対象とするシステムインテグレーターや販社にとって、今後仮想化技術の重要性が増す理由である。

どんなPCサーバを選択していくべきか

 それでは、仮想化技術を活用したサーバ統合を実現する際にはどういったPCサーバを選択すれば良いのだろうか。基本的にはなるべく多くの仮想サーバを稼働させられることが理想である。そのために考慮すべき要件としては以下が挙げられる。

十分なコア数の確保

 まず挙げられるのは「十分なコア数の確保」である。最近では6コア搭載のCPUも登場し、物理サーバ1台当たりで稼働が可能な仮想サーバ数も増加する傾向にある。ソケット数が多く、コア数の多いCPUをサポートするサーバを選ぶのがいいだろう。

十分なメモリ容量とスロット数

 コア数と並んで重要なのが「十分なメモリ容量の確保」である。ここで特にポイントとなるのはメモリスロット数だ。スロット数が多ければ、それだけたくさんのメモリを搭載することができる。しかし、それだけではない。メモリは容量が多いものほど高価になる。同じ64GBの容量を実現するにしても、4GBメモリ16枚と8GBメモリ8枚ではコストが異なってくる。したがって、メモリスロット数の多い機種を選択することも重要なポイントになってくる。

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