OracleのSun買収、MySQLコミュニティーの反応は?MySQLにとって吉か凶か(1/2 ページ)

MySQL Conferenceの最終日、参加者に「MySQLにとってOracleは吉か凶か?」という質問を投げ掛けた。彼らの答えは「絶対に凶だ」というものから「MySQLにとって大いにプラスになる」までさまざまだった。

» 2009年04月27日 17時53分 公開
[Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK

 米カリフォルニア州サンタクララのハイアットリージェンシーホテルで開催された「MySQL 2009 Conference」の最終日、eWEEK記者はカンファレンスバッジを着けた参加者に次々と歩み寄って、少し時間を割いてくれるよう頼み、単純な質問を投げ掛けた――「MySQLにとって米Oracleは吉か凶か?」という質問だ。

 この質問に対して、誰もが一様に最初は微笑を浮かべ、それから慎重に言葉を選びながら答えた。彼らの反応は興味深いものだった。「絶対に凶だ」と言い切る人もいれば、同じくらいきっぱりと「MySQLにとって大いにプラスになる」と答える人もいたが、参加者の多くはこの両極端の中間の見解を示した。

 米IBMがSun Microsystemsの買収を断念した後、Oracleが4月20日にSunを約74億ドル(実質で56億ドル、1株当たり9.5ドル)で買収すると発表したのは、多くの人々にとって寝耳の水の出来事だった。IBMは1株当たり9.4ドル(総額約65億ドル)の金額を提示したが、Sunは4月4日、この提案を拒絶した

 カンファレンスに参加したMySQL管理者はeWEEKの取材に対し、「ある参加者はSunの株式を直ちに売却したらしい」と話してくれた。「といっても、その人は4ドルで買った株を2倍の値段で売ったのだ。彼がOracleとSunの取引に怒っているのか、それとも株でもうけようとしているだけなのかは分からない。たぶん、その両方だろう」

 スウェーデンにあるSunの営業所で主任セールスエンジニアを務め、データベースに関する記事を定期的にブログに投稿しているアンダース・カールソン氏は、MySQLがOracleの傘下に入ることは、同データベースおよびオープンソースコミュニティー全体にとって「素晴らしい」ことだと考えている。

 「わたしはOracleで働いていたこともあり、彼らの考え方を知っている。彼らは、多くの人々が思っているよりもずっと深くオープンソースにかかわっている」とカールソン氏は話す。

 「MySQLのリーダーシップを握るというのは、同社にとって大きな前進だ。彼らはデータベースのメルセデス(ベンツ)であるOracleデータベースに加え、中小企業市場向けにMySQLを手に入れたのだ。より多くの選択肢を提供できるようになったのだ」(同氏)

Oracleに収益をもたらすMySQL

 カールソン氏によると、MySQLはOracleのエンタープライズデータベースよりもずっと低価格で販売されることになるだろうが、それでもMySQLはOracleに収益をもたらし、しかも彼らはこれまでの競合製品を自分たちの支配下に置くことができるという。

 「例えば、Oracleが400万ドルのデータベースシステムをある企業に売り込もうとしたところ、その企業にはそんな余裕がないとする。その顧客は結局、10万ドルでMySQLシステムを購入するかもしれない。ラリー(エリソンCEO)にとっては、それでも大満足だろう。10万ドルが自分たちの手に入り、IBMやSybaseには400万ドルが入らなくなるからだ」とカールソン氏は語る。

 Oracleの新たな関与に対して「しばらく様子を見る」という開発者もいる。

 「何が起きるか心配だが、今の段階では彼らがどうするのかまだ誰にも分からない」と別のデータベース管理者は語っている。

 「買収は数日前に発表されたばかりだ。破談になる可能性もまだある。IBMの場合もトラブルがあったことを忘れてはならない」と話す人もいた。

 ある販売担当者は、MySQLにとってOracleは凶と出ると考えている。

 「MySQLを所有することは必ずしも、Oracleに自社の標準データベースの改善を促すものとはならない。同社のビジネスの原動力はライセンスの販売だ。彼らにとって関心があるのはそれだけであり、自社のデータベースを改善するモチベーションは存在しない」と同担当者は語る。

 その理由について、「顧客企業が時間内に処理を完了できるようにするためにOracleデータベースの処理能力を高めてほしいと要求しても、Oracleは“プロセッサコアを増やせば問題が解決する”と答えるからだ」と同担当者は説明する。

 「製品を改良するのではなく、ライセンスの販売を増やすことがOracleの戦略だ」(同担当者)

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