Ciscoの3兆円超す手元資金の使い道に注目ニュース解説 四半期決算発表

Ciscoの直近の四半期決算は減収減益だったが、当初のアナリスト予測は上回った。注目されるのは、日本円で3兆円を超す手元資金の使い道だ。

» 2009年05月08日 09時16分 公開
[松岡功,ITmedia]

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 米Cisco Systemsが5月6日(米国時間)に発表した2009年会計年度第3四半期(2009年2〜4月期)決算は減収減益だったが、ロイターの報道によると当初のアナリスト予測を上回ったようだ(ニュース記事参照)。

 決算結果については、同社のジョン・チェンバース会長兼CEOも「厳しい世界経済の中、堅調な業績を達成することができた」とコメントしており、堅実な経営ぶりを示してみせたといえそうだ。

 中でもCiscoの財務基盤の強さを物語っているのが、手元資金である現金および投資総額として336億ドルを保有していることだ。日本円にして3兆円を雄に超すこの資金規模は、先ごろ米Sun Microsystemsを買収した米Oracleの投資額74億ドルの4.5倍にも相当する。

 Sunの買収をめぐっては、当初IBMが交渉を行ったが、決裂してすぐにOracleとの交渉が成立した。ただ、水面下では複数の大手ITベンダーに打診があったとされており、Ciscoも有力候補の1社として名前が挙がっていた。その最大の根拠は、Ciscoの潤沢な手元資金にあった。

 同社はこの第3四半期でも、IPネットワーク関連のミドルウェア技術を持つ米国のソフトウェア会社の買収を完了したり、新たにアプリケーション管理などのソフトウェア会社を2社買収する意向を表明している。もともと同社はこうした買収を積極的に行ってきたことで、今日の巨大な規模に成長してきた。そのDNAは今も健在だ。

 今回の決算発表の中で、同社のフランク・カルデローニCFOがこの潤沢な手元資金についてこうコメントしている。

 「現金および投資総額330億ドルを超える強力な財務状態が、イノベーションへの投資を維持し、ビジネスにおける運用の効率化を推し進めるとともに、顧客との関係を強化する強固かつ柔軟な基盤となっている」

 Ciscoがこの潤沢な手元資金を、今後どう生かしていくか。OracleのSun買収で衝撃が走ったばかりのICT業界だが、次なる再編劇ではCiscoが台風の目になる可能性が十分ありそうだ。

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