新PC購入、Windows 7を待つか無償アップグレードでいくか企業には難しい選択(1/2 ページ)

Windows XPを使い続けている企業にとって、Windows 7への無償アップグレードが用意されているVista搭載マシンの購入は魅力的ではあるが、問題もある。

» 2009年06月09日 16時02分 公開
[Don Reisinger,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftは先週、Windows Vistaユーザーは間もなくWindows 7に無償でアップグレードできるようになると発表した。Microsoftが指定したアップグレード期間中にWindows Vistaを購入したユーザーは、10月22日にWindows 7がリリースされた時点で同OSを無償で受け取ることができるという。今のところ、Microsoftがいつ無償アップグレードプログラムを開始するのかは明らかにされていない。最近のうわさによると、同社は6月末までに同プログラムの開始を発表する可能性があるようだ。いずれにせよ、Windows 7が今秋に店頭に並ぶ前に、人々にWindows Vistaを購入するよう促すとともに、PCの販売を促進するのがMicrosoftの狙いだ。

 一部のコンシューマーにとっては、これは歓迎すべき動きかもしれない。欲しいと思っているPCを今すぐ手に入れ、そしてWindows 7がリリースされた時点で新OSにアップグレードできるからだ。せっかちなユーザーにとって、これは非常に魅力的な選択肢だ。しかし企業の場合は事情が異なる。社内のコンピュータが常に最高の状態で稼働していることを重視する企業にとって、これは非常に困難な選択だ。今、Vistaを導入すれば、年内にWindows 7にアップグレードするのが容易になる。しかしそれよりも、最初からWindows 7を搭載した新しいハードウェアを購入する方がはるかに簡便な方法だ。

 企業の方針決定で優先されるのは、簡便性だろうか、それともアップグレード願望だろうか――言うまでもなく簡便性だ。

企業はVistaにアップグレードすべきでない

 企業は通常、3〜4年に1度、既存のコンピュータをリプレースする。その間、ソフトウェアをアップグレードすることにより、それを最新・最良の状態に維持するのだ。しかしここ数年、このパターンに変化が起きている。Windows Vistaのリリース直前にWindows XP搭載コンピュータにアップグレードすることを決めた企業を除けば、今日、圧倒的大多数の企業は、Windows Vistaにアップグレードするのを恐れて、時代遅れのハードウェアで苦労しているのが実情だ。ほとんどの企業は、深刻な互換性問題を引き起こし、業務に支障を来す恐れのあるOSの採用を見合わせ、XPを使い続けるという選択をしたのだ。

 今やアップグレードの時が来たのは明らかだ。しかしMicrosoftがWindows 7への無償アップグレードを提供するという理由だけで、Vistaが現時点での答えになるわけではない。確かに、Windows 7が10月にリリースされた時点では、同OSが企業にとって理想的な選択肢になるかもしれないが、Vistaは変わっていない。相変わらず肥大したOSであり、一部の企業を間違いなくおびえさせる互換性問題も数多く抱えている。Microsoftの最新OSへの無償アップグレードパスによって、この状況が変わるわけではない。Windows Vistaは、Microsoftが無償アップグレードを発表する前と同じOSなのだ。企業がこれまでそれを使いたいと思わなかったのであれば、これからそれを使いたいと思う理由が何かあるだろうか。

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