Snow Leopard vs. Windows 7――企業向きなのはどちら?切り替え時がチャンス?(1/2 ページ)

Appleは次期OS「Snow Leopard」でExchangeに対応するなど、ビジネス市場への食い込みを狙っているようだ。

» 2009年06月11日 17時13分 公開
[Don Reisinger,eWEEK]
eWEEK

 米Appleは6月8日、「World Wide Developers Conference」において、自社の人気OSであるMac OS Xの新バージョンのデモを行った。「Snow Leopard」のコードネームで呼ばれるこの新OSはマイナーアップデートとなるもので、そのデザインは現行バージョンに非常によく似ている。皮肉にも、Snow LeopardはIntelベースのMacにしか対応しない。このため、PowerPCプロセッサを搭載したレガシーMacではSnow Leopardが動作しない。

 Appleの新OSを紹介する基調講演では、同社ソフトウェア部門のバートランド・サーレイ上級副社長が演壇に上るなり、Microsoft攻撃を開始した。サーレイ氏は、Windows 7を無視して聴衆の関心をMac OS Xに引き付けるのではなく、「Windows 7はVistaの別バージョンにすぎない」と述べたのだ。

 OS市場ではMicrosoftに大きく差をつけられている企業のコメントにしては、なかなか手厳しい。しかしこれは示唆に富んだコメントでもある。AppleはOS分野でMicrosoftを打ち負かしたいという強い決意を抱いているのだ。同社は、Snow LeopardがWindows 7と競い合うことを世に知らしめたいのだ。とりわけ、同OSがあらゆるレベルでMicrosoftの最新OSに対抗できることを人々に知らせたいのだ。

 しかし本当にその通りなのだろうか。AppleのSnow Leopardは、コンシューマー向けには十分な魅力を備えているかもしれないが、企業ユーザーにとって理想的なOSかどうかは別問題だ。企業市場ではWindows 7の方に軍配が上がる。

新機能

 Mac OS X Snow Leopardはさまざまな新機能を備える。Finderは改良され、従来バージョンよりも素早くドキュメントを見つけ、プレビューができるようになった。検索ツールでは、ファイルを見つけるカスタム検索機能が使いやすくなった。

 Windows 7も同様の機能を備えている。Snow Leopardほど大幅な改善が加えられたわけではないが、Windows 7の検索/メニューシステムでは、OS上でファイルを非常に簡単に検索できるようになっている。この検索/メニューシステムはWindows Vistaのものとよく似ている。

 Mac OS Xの主要な改良点の1つが、Dock上でExposeが使えるようになったことだ。Appleによると、ユーザーはDockにアイコンを追加し、そのアプリケーションが現在実行しているすべてのアクティブインスタンスを表示できるようになるという。また現行版のExposeと同じく、フルサイズのプレビューも表示できる。

 しかしこの部分では、Windows 7の方が勝っているかもしれない。Microsoftの最新OSが備える改良型タスクバーはDockに似ており、ユーザーはアプリケーションが実行中のすべてのインスタンスを見ることができる。そしてこれらのインスタンスを1つずつ確認し、目的のウィンドウを選んでフルサイズで開くことができる。これはSnow Leopardのプレビュー機能と非常によく似ているが、Appleの機能がMicrosoftの機能に勝っている部分があるとは思えない。せいぜい同等という程度だ。

 Appleはついに、ExchangeのサポートをOSに組み込んだ。同社によると、Mail、CalendarおよびAddress BookでExchangeがサポートされるという。Mac OS XのSpotlight検索機能を使ってExchangeのメッセージを検索することも可能だ。

 Microsoftは当初から、自社のOSでExchangeをサポートしている。これはWindowsでのExchangeサポートの実装が必ずしも優れていることを意味するわけではないが、Microsoftがずっと以前からExchangeをサポートしてきたことを考えれば、Windows 7でのExchange対応は万全であるに違いない。Exchangeのサポートを追加するというAppleの決定は長い間、待ち望まれていたものだ。しかしそれは企業に特別な価値を提供するものではない。

 Appleはさらに、Snow Leopardが64ビットアプリケーションもサポートすることを明らかにした。同OSに組み込まれたアプリはすべて64ビットプロセッサ用に最適化されており、従来版Leopardよりも高速に動作するはずだ。

 だが、Appleは64ビットサポートの発表で世界を驚かせたわけではない。この技術はずっと以前から利用可能になっている。MicrosoftはWindows XPで初めて64ビットをサポートした。しかしこれまでのところ、64ビットアーキテクチャのパワーを生かしたアプリケーションを開発したデベロッパーは少ない。OS自身は高速化するかもしれないが、日常業務を遂行するという部分では、64ビットはたいしたメリットを提供するものではない。

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