Google幹部、Outlook同期化問題やクラウドサービスを語るGoogle Apps担当者インタビュー(2/3 ページ)

» 2009年06月26日 07時00分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

―― IBMとMicrosoftはここ数年、オンプレミス型コラボレーション製品の分野で戦いを繰り広げています。両社はこの競争で、恐怖と嫌悪を演出しています。競合製品を選択すると大変なことになるという意識を植え付けようとしているのです。クラウドコンピューティングでも同じような競争力学が働くのでしょうか。

シェス 状況は異なると思います。実際、そうでなければならないと思います。というのも、すべての企業があらゆるものをクラウド上で運用するような状況にはならないと思うからです。はっきり言って、ベンダーによってクラウドに対する考え方が異なります。例えば、われわれはSalesforce.comほどCRMを得意とすることは決してないでしょう。彼らのプラットフォームは基本的に、CRMを中心としたビジネスアプリケーションを作成することに重点が置かれています。われわれはSalesforce.comとの相互運用性を提供する必要があります。一方、コラボレーションに関しては、われわれはほかの多くのベンダーよりもはるかに大きな強みを発揮するでしょう。

 クラウドインフラ関連では、ほかのベンダーも素晴らしい取り組みをしています。例えば、AmazonのEC2(Amazon Elastic Compute Cloud)です。ユーザーが注目しているベンダーは当社だけではありません。当社はコラボレーションおよびApp Engine上でのアプリケーションのホスティングで注目されていますが、データベースなどのアプリケーションのホスティングにAmazonを利用しようと考えているユーザーもいます。こういったユーザーは今後も、相当数のアプリケーションをファイアウォールの内側で使い続けるでしょう。つまり、これらすべての環境の間に相互運用性が必要だということです。われわれはほかのクラウドとの相互運用性、そしてファイアウォールの内側の環境との相互運用性を実現するために努力しています。

―― 相互運用性と言えば、Google Apps Sync for Microsoft Outlookツールの問題がありますが、これについては後でおうかがいします。先ほど「GoogleはSalesforce.comほどCRMを得意とすることは決してない」と言われたことに関連しますが、最近Googleに問い合わせたところ、企業アプリケーション分野に参入する予定はないということでした。Google Appsは現在、Salesforce.comと緊密に連係しています。Googleは企業アプリケーションを提供しないことを最終決定したのですか。

シェス “決してない”というのは少し極端な言い方かもしれません。将来がどうなるかは、誰にも分かりませんからね。しかし、それぞれの企業のDNAという側面が存在するのは確かだと思います。それは当社の強みにも当てはまります。情報を管理するためのユーザー向けアプリケーションがわれわれの得意分野です。それは特定の業務アプリケーション分野に属するものではありません。“決してない”というのは極端ですが、われわれがコラボレーションと情報管理の分野でイノベーションを実現する可能性は、Salesforce.comのDNAである専門業務アプリケーションの分野でわれわれがイノベーションを実現する可能性よりもはるかに高いことは、間違いなく真実です。多くのユーザーは両方のプラットフォームを利用するでしょう。

―― 先ほどの話ですが、Googleは最近、Google AppsのGmail、カレンダー、連絡先とOutlookとの相互運用性に向けた取り組みとして、Google Apps Sync for Microsoft Outlookというプラグインをリリースしました。しかし不具合も出ました。GoogleとMicrosoftのプラグインとの間の相互運用性改善に向けた取り組みが両社で進められているようですが、Googleでの作業の進展状況はいかがですか。

シェス 実際のところ、非常に順調だと思っています。これに関しては毎日、ユーザーと話し合っています。相互運用性はわれわれにとって極めて重要な問題になるでしょう。これは非常に困難な課題でもあります。エンタープライズ環境内のあらゆるものと100%の相互運用性を実現するのは容易ではありません。当社が2週間前にリリースしたOutlook用プラグインは、リリース前における企業でのテスト、そしてリリース後におけるユーザーによる受け入れの両面で大いに成功しました。

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