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仮想環境へ移行する企業システム、その統合管理をどうする?JP1 V9 Review(1/2 ページ)

日立が提供するJP1が3年ぶりにバージョンアップした。Version 9で強化されたポイントをレビューする。連載第1回は、主な強化ポイントのまとめと「構成管理」について述べる。

» 2009年07月03日 08時00分 公開
[友成文隆(日立製作所),ITmedia]

仮想環境の統合管理機能を強化

 企業内情報システムのクラウド化が今後進展し、さらに複雑・大規模化することが考えられる。今、求められるのは、仮想化システムでの運用ニーズに対応した、統合システム運用管理である。

 「JP1 Version 9(以下、JP1 V9)」では、企業内の仮想化システムにおける「柔軟(Flexible)かつ効率的(Smart)」な運用管理の実現をコンセプトとし、関連する製品を強化している。

 JP1 V9のコンセプトであるFlexible&Smartには、次の意味が込められている。

  1. システムの変化に合わせた柔軟な運用
  2. システムに依存しない効率的な運用

 このコンセプトに沿って、複雑・大規模化する仮想化システムにおいて、ITリソースの監視とサーバ構成変更の自動的かつリアルタイム検知を行う「モニタリング」、およびサーバ集約による運用変更に対応可能な「ジョブ管理」を強化し、柔軟かつ効率的なシステム運用を実現する。

製品体系

 今回のバージョンアップでは、確立された4つのコンセプトカテゴリと、それにひも付く製品カテゴリからなる従来の体系が継承されている。しかし個別に見てみると、新たな製品の追加やジョブ管理の刷新など、大規模なリニューアルも施されている。

モニタリング

システム全体の稼働状況を「見る」製品である。サービスおよびシステムの稼働状況や障害発生の予兆を見通す。「統合管理」および「アベイラビリティ管理」製品群からなる。

オートメーション

計画的に業務を「動かす」製品である。ポリシーに基づいたシステム運用や業務の自動化によって、ミスや不正が起こらない安定した業務運用を実現する。「ジョブ管理」製品群からなる。

ITコンプライアンス

大切なIT資産を「守る」製品である。セキュリティポリシーや法令、規則に基づく内部統制を強化するために、資産情報を集中管理し、速やかな対応策を実施する。「資産・配布管理」および「セキュリティ管理」製品群からなる。

ファウンデーション

システム基盤を「支える」製品である。ネットワーク、ストレージ、サーバの管理を効率化し、システム基盤を支える。

JP1 V9の主な強化点一覧

 今回のバージョンアップでは、JP1を構成する大半の製品が強化されている。主な強化ポイントを次に示す。本連載では今後、これらを詳解する。連載初回となる今回は、仮想環境を統合管理する際の「構成管理」を取り上げる。

カテゴリ 主な強化点
モニタリング 統合管理 仮想環境における構成管理、大量イベント管理、重大度やメッセージの変換
アベイラビリティ管理 エージェントレス方式での稼働監視(新製品)、システム全体のサーバ稼働情報のサマリ監視、レポート分析機能の強化、クイックガイド&キーワード検索、IEシナリオによる計測
オートメーション ジョブ管理 ジョブスケジューラの刷新、アーキテクチャ刷新による性能改善、目的指向による操作性の刷新、業務の計画自動切り替え、エージェント管理、検索機能の強化
ITコンプライアンス 資産・配布管理 ソフトウェア配布・資産管理(外部メデイア利用制御の強化、最新ウイルス対策製品への対応の省力化・迅速化、UNIX/Linuxクライアントの運用強化)、不正PC接続監視・強制排除、Webコンソールサポートによる運用強化、監査証跡管理、大量データの管理、検索および集計パターンのインポートおよびエクスポート
セキュリティ管理 リムーバブルメデイアのデータ暗号化(新製品)、持ち出し制御の強化、USBメモリー個体識別、読み込み禁止制御
ファウンデーション ネットワーク管理 ネットワーク管理基盤の刷新、根本原因解析&スケーラビリティ拡大、ノードグループ化・階層化、システムリソース/プロセスリソース管理、SSOのレポート機能標準サポート

コラム:より親しみやすくなった、JP1 V9のイメージデザイン

複雑化するシステム環境においても、JP1の目指す星、「Service Quality Management」を自律的かつ確実に実現するという方針は変わっていない。バージョンアップによりそのイメージデザインも、従来の「羅針盤」から、「水球コンパス」に変更された。


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