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メディアに火を付けるコツ【後編】WebPRの仕掛け方(2/3 ページ)

» 2009年10月06日 17時00分 公開
[太田滋(ビルコム),ITmedia]

商品を比べてもらうために必要な「背景情報」

 次は、購買ステップの「比べる」に対する施策を説明しよう。「比べる」とは、消費者が多数の商品を比べて、どの商品が優れているかを判断するプロセスを指す。

 ここで企業が実施すべきことは、消費者がどのような判断軸を基に、商品を購入しようとしているのかを理解することだ。この軸を的確につかみ、他社商品よりも優れたメッセージを届けることが必要となる。

 ここで有効なのは、商品のレビュー記事をメディアに掲載してもらうことだ。レビュー記事は、機能やスペックなどの細かな仕様に加え、使い勝手などの感覚的な部分も伝えられる。従って、レビューを読んだ消費者は「購入して使ってみよう」と判断しやすくなる。

 レビュー記事を取り上げてもらうためには、メディア向けに「商品レビューの企画書」を提案する必要がある。

 商品レビュー企画において最も重要なのは、商品を打ち出すに至った「背景」だ。メディアは「どうして今その商品に注目したのか」を考えながら、情報を発信しており、「記事を読んで読者がどう感じるか」という点が、どの情報を記事にするかを判断する基準になっている。だからこそ企業は、「なぜその商品をレビューする必要があるのか」「なぜその機能に注目する必要があるのか」といった目線を持って、背景となる部分を補足するデータなどをそろえておく必要がある。

 たとえば、デジタルフォトフレームのレビュー記事企画をメディアに提案する場合、つぎのような背景情報を盛り込むといい。

  • 市場全体の動向
  • 市場予測(直近6カ月)
  • 簡易商品比較表(機能面の違いの分かりにくさを補足する)
  • 主要商品のブログや口コミサイトでの評判(実際に商品を使用した消費者が感じた満足や不満などの感想を見えることで、商品の機能や使い勝手などが商品を購入する前には想像しにくいものであることをアピールし、レビュー記事掲載の必要性を訴えかける)

 ちなみに、複数の競合商品を対象とする場合は、一般の消費者の目では機能的特徴の違いが判別しにくい商品を選んだほうが、メディアには受け入れられやすい。 ソニー・コンピュータエンタテインメントの「PLAYSTATION 3」と任天堂の「Wii」のように機能的特徴の差異が明らかなものを比較しても、レビュー記事が魅力的なものになりにくいからだ。

ワンポイント・アドバイス

レビュー記事の方向は2つある。1つは、商品1点だけを取り上げてレポートするもので、もう1つは、複数の商品を取り上げ、機能やスペックを比較するものだ。メディアは公平性に対するこだわりが高い。そのため、商品1点だけを取り上げた記事よりも、複数の商品を取り上げた記事を掲載することが多い。商品単独での記事の露出を考えるなら、アイティメディアが運営する専門メディア「ITmedia +D Lifestyle」など商品のレビュー記事を掲載するコーナーを常設しているメディアを狙って企画を提案するといいだろう。


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