企業のTwitter活用で成功事例が出始めているが、成功を導く明確な方程式はまだ生まれていない。本稿では、世界ブランドを誇る企業100社のTwitter活用実態から、企業とTwitterの現在の関係を明らかにしていく。
Twitterの台頭に伴い、製品やサービスのマーケティングやプロモーションにTwitterを活用する企業が増え始めている。多数のフォロワーを獲得し、売り上げの増加や認知度の拡大に貢献している事例も出ているが、企業のTwitter活用に対する明確な答えはまだない。
そこで、Web関連のメディアで取り上げられる一部の成功事例に偏らず、ビジネスへのTwitterの活用を包括的に分析することを狙いとして、「世界のベストブランド100社」を対象にTwitterの活用における全般的な調査を実施した。本稿では、これらのブランドを有する企業におけるTwitter活用の実態を明らかにしたい。
調査の詳細は、著者が本日(10月16日に)上梓した『Twitterマーケティング 消費者との絆が深まるつぶやきのルール』に掲載しています
調査期間:2009年9月5日〜9月10日
対象企業:BusinessWeek誌とInterbrandが実施した世界規模のブランド価値評価ランキング「Best Global Brands 2008」のトップ100社(2008年9月19日発表)
アカウント選定:複数のTwitterアカウントを運用する企業においては主要なアカウントをすべて調査。その上で最もフォロー数の多いものを代表アカウントとして選定
調査方法:インターネットを通じて、選んだTwitterアカウントの活用実態を調査。特に2009年8月のすべてのつぶやき(Tweet)を抽出し、特性を分析した
はじめに「世界のベストブランド100」にランクインした100社におけるTwitterの活用状況から見ていこう。結論から言えば、Twitterの公式アカウントを運用している企業は、100社中すでに56社に上っていることが分かった。この56社のアカウントの活用を分類したのが図1だ。
56社のうち36社は目的に応じて複数のアカウントを活用し、20社は単一のアカウントを運用している。ただし単一のアカウントを使っている20社のうち7社は、本社ではなく海外支社などでの運用にとどまっており、企業のブランドを代表する公式アカウントではない点に注意したい。残りの44社は9月5日時点で公式アカウントを開設していない。
では、これらのアカウントはいつ開設されたのだろうか。最もフォロワー数の多い各企業の代表的なアカウント(代表アカウント)を対象に、開設の時期を分類したのが図2だ。
2006年11月29日にサービスが始まったTwitterにおいて、開始から4カ月でアカウントを開設した企業が米Starbucks(アカウント:「Starbucks」)である。すでに3年近く運用を続けており、最も成功している企業アカウントの1つだ。2009年9月時点のフォロワー数は28万8000人に上っている。
2007年にアカウントを開設した企業は、米Oracle(2007年3月)、米MTV(2007年3月)、米Nike(2007年5月)、米Intel(2007年5月)、米Accenture(2007年11月)である。このうち、Oracle、Intel、Accentureは主力事業がB2B(企業向けビジネス)である。B2C(消費者向けビジネス)ではない企業が早期にアカウントを開設しているのは、意外な印象を受ける。
- | Twitterアカウント | 開設時期 | フォロワー数(2009年8月現在) | アカウント目的 |
---|---|---|---|---|
Starbucks | Starbucks | 2006/11/29 | 28万7786 | 顧客との対話 |
Oracle | Oracle | 2007/03/03 | 7711 | 企業の広報 |
MTV | MTV | 2007/03/26 | 32万8040 | 企業の広報 |
Nike | nikebasketball | 2007/05/09 | 2万1609 | 製品の広報宣伝 |
Intel | Intel | 2007/05/29 | 5150 | 企業の広報 |
Accenture | Accenture | 2007/11/12 | 5363 | 企業の広報 |
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