NECが先週、クラウドサービスを体験できるショールームを開設し、同事業について会見を開いた。同社の企業向けサービス名は「クラウド指向」と呼ぶ。なぜ「指向」なのか。
NECが10月14日、東京・港区の本社ビル1階に、クラウドサービスを体験できるショールーム「NECクラウドプラザ」を開設した。同社の企業向けクラウドサービスを体験できる施設で、「リアルなクラウドを実感!」をコンセプトとしている。
NECクラウドプラザの具体的な内容については、すでに報道されているので関連記事などを参照いただくとして、ここでは同施設の開設にあたって同社ITサービス関連事業の首脳陣が同日行った会見の内容を取り上げたい。
NECのクラウド事業に対する取り組みはすでに明らかになっているが、会見に臨んだ藤吉幸博 取締役 執行役員常務は、あらためて基本的な考え方や事業スタンスを説明した。その中に「なるほど」と感じた点があったので紹介したい。
藤吉氏はまず、NECが考えるクラウドサービスについて、「多様な端末からネットワークを介してITをサービスとして利用すること」だと説明。その「IT」とは、「クラウドの特徴を持つ標準化されたIT機能」のことで、「クラウドの特徴」とは例えば仮想化やマルチテナントなどの技術を指し、「標準化されたIT機能」にはハードもソフトも含まれる。
筆者の説明の仕方がまずいのか、少々因数分解のような説明になってしまったが、NECはこうしたクラウドサービスの最大のユーザーメリットを、「初期投資を抑制し、導入のスピードアップに貢献すること」としている。NECのクラウドに対する基本的な考え方がここに集約されている。
藤吉氏は次に、クラウドサービスの事業スタンスについてこう語った。
「クラウドサービス市場はコンシューマ向けと企業向けに分かれるが、現時点で市場が形成されつつあるのは、コンシューマ向けと企業向けのフロントオフィス分野だ。NECは企業向けのフロントオフィスからバックオフィス、さらにはRFID活用などの新領域まで幅広くカバーしていきたい」
その方針のもと、今年7月に提供開始したのが「クラウド指向サービスプラットフォームソリューション」である。ここで藤吉氏は、こんな説明を加えた。
「なぜクラウドではなく、クラウド指向か。企業向けシステムを、クラウドの特徴を活用してサービス型で提供するという意味で、そう命名した」
そして、クラウド指向のユーザーメリットとして、TCO削減、スピードアップ、柔軟性の向上、持たざるITの実現といった点を挙げた。そこには、クラウドサービスの最大のユーザーメリットとしている「初期投資の抑制」という言葉はない。
これは何を意味するのか。
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