自分は時代に合っているか不景気時代の会社と従業員の関係(2/3 ページ)

» 2009年10月28日 08時00分 公開
[大木豊成,ITmedia]

必要とされなくなった機能

 ここまで書くと悲観的に感じる方もいらっしゃるかも知れませんが、必要以上に悲観的にとらえる必要はないと考えています。しかし、一方で時代に取り残されない生き方も必要なのではないか、と思っています。

 製造から販売の工程を考えてみましょう。80年代までの日本では、工場で製造され、それが卸業者に運ばれる。モノによっては、元卸業者というところを経由し、小さな地区ごとの卸業者に渡り、やがて小売業者に運ばれて、私たちの手元に届くことになりました。

 そして2009年のいま、たいていのモノがインターネットで購入できます。製造業者の直販も少なくありません。ソフトウェアがその筆頭かも知れませんが、ダウンロード販売がほとんどです。わたしが愛用しているジャストシステムのATOKは、ここ数年ダウンロードでしか購入したことがありません。パッケージ販売と違って、店に足を運ぶ面倒もないし、家に空箱が残るということがないので環境にもいい。何より、パッケージ商品よりも安く購入できます。利用しない手はありません。

 ところが、それらの卸業者はどうでしょうか。以前は必ず自分たちを経由して販売されていた商品が、自分たちを素通りしていってしまいます。小売店も同様ですね。家電量販店でソフトウェアを購入する人は格段に減っているはずです。

 もしわたしがソフトウェア卸業者の正社員であったら。確実に何か新しいビジネスモデルを構築しない限り、わたしあるいは同僚は少しずついなくなっていくことになるのだと思います。

 「自分は営業担当者だから、ビジネスモデルを作るのは経営者の仕事だ」

 そうやって言い張っているのは勝手ですが、その会社が衰退していくのにそれでいいのでしょうか。

 卸業者でありながら、ダウンロードでできるビジネスとか、小売店が楽になる施策を考えるとか、あるいは大きく業態を変える案とかが必要になるはずです。それが経営者だけに押しつけておいていいのか、ということです。会社の将来でありながら、自分自身の将来でもあるのですから。

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