HP vs. Cisco――対極的なデータセンター戦略(1/3 ページ)

ワンストップショップを目指すHPとパートナーとの提携による総合的なサービスの提供をうたうCiscoが、クラウドコンピューティング市場争奪戦を開始した。

» 2009年11月10日 11時45分 公開
[Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK

 2010年は「統合コンピューティングシステム戦争の年」になりそうだ。参戦する主要な企業は、米Cisco Systemsと米Hewlett-Packard(HP)だ。

 もちろん米IBMの存在も見過ごせない。しかし同社の「Blue Cloud」構想に関する一般的な情報や、次世代データセンターの開発に向けた提携の可能性を除けば、統合コンピューティング分野の大御所であるIBMから明確な戦略がまだ聞こえてこない。

 この分野には、カナダのLiquid Computingといった小規模の新興企業も参入しようとしている。Liquidは、「Liquid Elements」という新しい統合コンピューティングソフトウェアパッケージをIntelと共同で開発中だ。この製品は間もなく注目を集めることになりそうだ。

 これらの動きは全般的に、クラウドコンピューティングの方向に向かっている。問題は、今後数年間で従来型のデータセンターのリプレースが進む中で、インターネットを通じて提供されるサービスを稼働するのに必要なシステムの主要なサプライヤーになるのは誰かということだ。

 賭け金は高い。新世代のデータセンターの施設1カ所当たりのコストは数十万ドルから数百万ドルにも上るとみられる。この市場争奪戦では、ブランド戦略と顧客忠誠心の確立が大きなポイントになりそうだ。

 データセンター分野で最近、最も注目を集めているのがCiscoとHPだ。両社は今年、コンピューティングパワー、ネットワーキング、ストレージ、データセキュリティ、管理機能を従来よりも小型の物理ハードウェアに統合する新世代のデータセンターアーキテクチャを発表した。両社のアーキテクチャは、少数のマシンに多数の機能を組み込むことにより、消費電力、冷却要求、設置面積、管理スタッフの労力の削減を目指す。

 新世代のアーキテクチャでは、パーティショニング、暗号化、ネットワーキング、電子メールなどの各機能に対して個別にサーバを用意する必要がなくなる。管理、環境、コストのすべての面において合理的な構成だという。

 Ciscoは3月16日にUnified Computing System(UCS)」を発表した。これは新しいデータセンターアーキテクチャ、Ciscoの設計による新サーバ、および新たな管理ソフトウェアとサービスのセットで構成され、Intelの強力なクアッドコア「Nehalem Xeon」プロセッサをベースとする。

 一方HPは11月4日、「Converged Infrastructure(CI)」戦略を発表した。その前日には、Cisco、ストレージ分野大手のEMC、仮想技術ベンダーのVMwareの3社がUCSをめぐる合意をさらに進め、「Vblock」と呼ばれる統合済みコンピューティングシステムの開発と販売で提携を強化すると発表した

 HPの統合システムは、自社のc-Classブレードサーバ、StorageWorksアレイおよび社内ネットワーキングとデータ用の管理ソフトウェアで構成される。

 HPの戦略は、ハードウェア、ソフトウェア、サービスを組み合わせて、コンピューティング、ストレージ、ネットワーキングおよび管理の各リソースを単一のプールに統合するインフラを構築することにより、企業の俊敏性と効率の改善ならびにデータセンターの運用・維持コストの削減を支援するというものだ。

 これはCiscoのシステムの狙いとまったく同じだ。

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