IBM Project Vulcan=Google Wave+Facebook+BI(1/2 ページ)

IBMがLotusphere 2010で発表した「Project Vulcan」は、Facebookとビジネスインテリジェンス(BI)を1つにまとめたような製品だ。リアルタイム共同編集機能を備える面ではGoogle Waveにも似ている。

» 2010年01月22日 11時30分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 フロリダ州オーランドで開催の「Lotusphere 2010」では、IBMの「Project Vulcan」の話題が盛り上がっている。同社は1月18日、この次世代コラボレーションプラットフォームのデモを行った。

 Project Vulcanを分かりやすく表現するならば、これはFacebookとビジネスインテリジェンス(BI)を1つにまとめたような製品だといえる。当初は、VulcanはGoogle Waveへの対抗を狙ったものではないかという憶測も流れた。

 しかしこの新プラットフォームは、ドキュメントやファイルをリアルタイムで共同編集するためのコラボレーションアプリケーションというよりは、むしろユーザーがビジネスアプリケーションのデータを共有し、それに基づいて行動できるようにすることが狙いであることが明らかになった。そしてVulcanは、これを1つのプラットフォームで実現しようとしているのだ。

 IBMのLotusポートフォリオの場合はどうだろうか。これは、電子メールクライアントのLotus NotesとサーバのDominoのほか、インスタントメッセージングとWebカンファレンス用のLotus Sametime製品など多数のコンポーネントで構成されている。IBMはこれらの製品を相互に連係することにより、それぞれが互いに対話できるようにしている。

 しかし、これらの異種アプリケーションを1つのプラットフォームからアクセスする手段はまだ用意されていない。GoogleはWaveでそれを実現した。「Project Vulcanの狙いもそこにあり、加えてビジネスデータにも対応する」――IBMのLotusソフトウェア部門のジェネラルマネジャーに就任したアリステア・レニー氏は1月19日、米eWEEKの取材でこのように説明した。

 Vulcanはまだ開発途上にある。IBMは今年下半期に、同社の新しいLotusLive Labsを通じて開発者にVulcanを公開する予定だ。レニー氏によると、Vulcanはまだ“青写真”段階であり、詳しいことは言えないとしている。

 そう前置きしたレニー氏は「顧客が求めているのは、コラボレーションサービスに簡単にアクセスする手段、そしてこれらのサービスを業務機能とうまく結び付けることだ」と話す。

 ユーザーは、CRMやERPといったビジネスアプリケーション、IBMのCognosなどのビジネス分析ソフトウェアで作成したデータを、IBMのLotus Notes/Domino(電子メール)、Lotus Connections(ソーシャルソフトウェア)、Lotus Sametime(統合コミュニケーションとコラボレーション用アプリケーション)、Lotus Quickr(チームコンテンツサービス)を通じて共有し、コミュニケートできるようになることを望んでいるのだという。

 Vulcanのもう1つの狙いは、これらのアプリケーションがオンプレミス(社内保有)ベースであってもWebベースであっても相互に通信できるようにすることにある。これは、Lotusのハイブリッド化を進めるIBMの動き(例えば、オンプレミス型のLotus Notesをクラウド版NotesのLotusLiveとシームレスに連係させる取り組みなど)にも呼応するものだ。

 さらにレニー氏によると、IBMはVulcanのすべての機能をデスクトップから自社のモバイルエンタープライズ製品群に拡張したいと考えている。モバイルエンタープライズ分野では、ロケーションベースのサービスがユーザーのコミュニケーションで重要な役割を果たすようになるという。

 「目標は、これらすべての機能を統合フレームワークに組み込むことにより、ユーザーが相互にコミュニケートし、状況に応じた情報を見るための一元的な手段を提供することだ」とレニー氏は語る。「サービスという視点で言えば、このフレームワークを構成するのは、メール、統合コミュニケーション、ソーシャル機能、ビジネスアプリケーションなどだ」

 Project Vulcanには、IBMのLotusコラボレーションソフトウェア、Lotus Connections、Cognos BIソフトウェアが含まれる。Lotus Connectionsは、コラボレーションアプリケーションとCognosアプリケーションを結び付ける接着剤の役割を果たし、広範なLotusコラボレーションサービスの上にソーシャル分析機能を付加する。

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