IBM、コンピュータチップを光でつなぐ最速デバイスを開発

IBMが開発した「ナノフォトニクスアバランシェ光検出器」は光配線を使ってコンピュータチップを接続でき、この種のデバイスでは世界最速という。

» 2010年03月05日 07時00分 公開
[ITmedia]

 米IBMは3月3日、銅配線の代わりに光配線を使ってコンピュータチップを接続する世界最高速のデバイスを開発したと発表した。

 このデバイスは「nanophotonic avalanche photodetector(ナノフォトニクスアバランシェ光検出器)」と呼ばれ、光信号を使ってコンピュータチップ間でデータを転送する。40Gbpsの光信号を受信して、同時にそれを10倍に増幅でき、この種のデバイスでは世界最高速という。また必要な電圧は1.5Vと、従来のアバランシェ光検出器(20〜30V)よりかなり低くなっている。

 このデバイスは、ゲルマニウムの「電子雪崩」効果を利用している。これは光信号の電子の数が雪崩のように何倍にも増えていく現象。このデバイスは、わずか数十ナノメートルの間に高速に電子雪崩を起こす。サイズが小さいため、ノイズも従来と比べて50〜70%減るという。

 このデバイスはマイクロプロセッサの製造に使われているシリコンとゲルマニウムを使っており、標準的なプロセッサ製造プロセスで作ることができるとIBMは述べている。

 「今回の発明は、チップ上の光インターコネクトをよりいっそう現実に近づける」とIBMは述べている。「この小さなデバイスは、微弱な光信号を検出して、かつてないほどの帯域幅に増幅でき、不要なノイズの増加も最小限に抑えられる」

 この研究成果は「Nature」の2010年3月号に掲載されている。

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