Google Appsへの期待が鮮明に――変わる企業の情報共有基盤ITmedia リサーチインタラクティブ 第5回調査(1/2 ページ)

電子メールやスケジュール管理などの機能を持つコミュニケーションツールの入れ替え時期が迫っている。10年前に導入した企業が約4割に上り、今後の導入においてはGoogle Appsへの期待が高まっている。ITmedia エンタープライズとITRが実施した読者調査から、企業の情報共有基盤に対するニーズの変化を明らかにする。

» 2010年03月11日 08時00分 公開
[藤村能光,ITmedia]

ITmedia リサーチインタラクティブでは第6回読者調査「DBMS(データベース管理システム)」を3月25日まで実施しています。


 ITmedia エンタープライズと調査会社のアイ・ティ・アール(ITR)は1月から2月にかけて、「コラボレーション/コミュニケーションツール」をテーマにした読者調査を実施した。10年以上前に導入した情報共有基盤を使い続けている企業が約4割に上り、今後は「Google Apps」に期待が集まる結果となった。その他のツールとして、Twitterを将来的に活用したいとする意見も目立った。企業内の情報共有を円滑にし、競争力や業務効率を生み出すコラボレーション/コミュニケーションツールの動向を、最新の調査結果から分析する。

調査概要

  • 目的:企業のコラボレーション/コミュニケーションツールの導入実績や入れ替え意向を分析、考察するため
  • 調査方法:Webによるアンケート。調査票の作成と結果の分析はITRが担当
  • 調査期間:2010年1月21日から2月5日
  • 有効回答数:215件
  • 備考:同調査でのコラボレーション/コミュニケーションツールは、電子メール、掲示板・電子会議、スケジュール管理、会議実・設備予約、企業情報ポータル、アドレス帳・社員検索・ワークフロー、プロジェクト管理ツールなどを指す。企業用イントラネットも含む

4割近くが10年前に導入

 現在勤務先で使っているコラボレーション/コミュニケーションツールを聞いたところ、1位は「IBM Lotus Notes/Domino」(31.0%)、2位は「自社開発システム」(26.3%)、3位は「サイボウズ シリーズ」(21.6%)だった。電子メールのみの利用も19.2%と高く、6位以下のツールの利用は10%以下となり、トップ5に比べて相対的に低かった。従業員数で見ると、100人以上の企業はNotes/Dominoと自社開発システム、100人未満の中小企業では電子メールのみの利用が多かった。

現在利用中のコラボレーション/コミュニケーションツール 現在利用中のコラボレーション/コミュニケーションツール(複数選択/有効回答数213件) 出典:ITmedia リサーチインタラクティブ/ITR(2010年3月)

 導入時期では、38.4%の企業がコラボレーション/コミュニケーションツールの導入から10年以上が経過したと答えている。ツールでは、「NEC StarOfficeシリーズ」、Notes/Domino、Exchange Server、「日立 Groupmaxシリーズ」の割合が高かった。

コラボレーション/コミュニケーションツールの導入時期 コラボレーション/コミュニケーションツールの導入時期(有効回答数211件) 出典:ITmedia リサーチインタラクティブ/ITR(2010年3月)

 利用している機能は、「電子メール」(80.5%)「スケジュール」(80.0%)が多い。「掲示板・電子会議」を利用している企業は半分程度、「ワークフロー」を利用している企業は3分の1程度にとどまった。

Google Appsに集まる期待

 今後、ツールを入れ替える予定があるかを尋ねると、「変更予定あり(検討中を含む)」(31.3%)と「変更予定なし」(31.3%)となり、両回答が拮抗(きっこう)した。ツールごとに聞くと、Notes/Domino(42.0%)、サイボウズシリーズ(41.7%)、Exchange Server(37.0%)に対する入れ替え需要が高かった。一方、Groupmaxシリーズは83.3%が変更予定なしと答えており、ツールによって利用継続の意向に差がみられた。

コラボレーション/コミュニケーションツールの変更予定 コラボレーション/コミュニケーションツールの変更予定(有効回答数214件) 出典:ITmedia リサーチインタラクティブ/ITR(2010年3月)

 変更予定の有無にかかわらず、どのツールを利用したいかを尋ねたところ、1位はSaaS(サービスとしてのソフトウェア)型の「Google Apps Premier Edition」(21.1%)だった。以下、自社開発システム(13.2%)、Notes/Domino(12.7%)が続く。Google Apps Premier Editionの現在の利用率は低いものの、今後の導入において企業の期待が集まっている。

今後利用したいコラボレーション/コミュニケーションツール 今後利用したいコラボレーション/コミュニケーションツール(有効回答数204件) 出典:ITmedia リサーチインタラクティブ/ITR(2010年3月)

 Google Apps Premier Editionは、「ツール導入の意志決定者/情報システム部門」および「利用者側」において、導入意向の差が0.5ポイントとわずかだった。一般的に情報システム部門は、SaaSをはじめとするクラウドサービスに対して、データを社外に保管することへの不安や運用の分かりにくさなどから、積極的な導入意向を示していない。だがGoogle Apps Premier Editionにおいては、情報システム部門と利用者側における温度差が小さい。

 意志決定者/情報システム部門では、Exchange Serverに対する利用ニーズが高い。情報システム部門は、コラボレーション/コミュニケーションツールにおけるパッケージソフトやクラウドサービスのラインアップが豊富であることから、自社システムの開発を避け、より業務に貢献するシステム構築に携わりたいという意向があると想定される。OutlookやActive Directoryなど、導入済みのMicrosoft製ツールとの連係も視野に入れていると考えられる。

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