点検:ストレスなきデジタル情報整理術

変化し続ける「組織」や「道具」の要件点検 ストレスなきデジタル情報整理術(2/3 ページ)

» 2010年03月23日 08時30分 公開
[岡田靖,ITmedia]

変化を持続させる秘訣

 情報共有のための道具と、それを使う組織に求められる柔軟性を確保し、将来にわたって維持していくには、組織全体のあり方が課題となる。合従連衡や市場への参入・撤退といった活動が激しさを増す昨今、企業には組織全体として柔軟性を持続的に高めていくことが要求され、常に変化させていかねばならない。その手法はトップダウンとボトムアップの2通りに大別されるだろう。これらは、どちらが良いというのではなく、どちらも重要である。

 業務の流れを大きく変えるシステム化といった、組織全体に関わる大掛かりな改編は、改革を実現する強力なリーダーシップを伴うトップダウンが適切だ。一方で、改革の成果を一過性のものに終わらせず、また将来的に組織が硬直化しないようにするには、日々の小さな改善を現場レベルで積み重ねていくボトムアップの活動が重要になる。

 日本人は細かな創意工夫が得意だといわれる。製造現場の業務改善活動は、世界に通用する「カイゼン」という言葉になったほどだ。ところがホワイトカラーの業務は、むしろ「お役所仕事」と揶揄されるようなイメージが強い。変化を好まず、旧態依然のまま改善が進まない状況では、トップダウンの改革ばかり押し進めても、従業員が適応できないだろう。

 今の企業に求められているのは、考えずに動くことではなく、迅速で的確な判断をし、行動することである。そこで、企業には一人ひとりの創意工夫を組織として吸い上げて業務改善につなげられるような道具を用意することが必要だ。

 このような観点から組織で使うべき道具の特徴を考えると、個人レベルでの創意工夫を手軽に実現し、業務を改善していけることが望ましい。個人が容易にカスタマイズでき、ちょっとしたアイデアを気軽に試して、それが良ければ同僚や組織に広めていける流れを作れるものだ。これなら、一人ひとりの改善活動を促進できる。

 このためには、制度面での対応も欠かせない。本特集の記事に登場した吉越浩一郎氏が指摘しているように、会社は個人の「頑張り」に対して評価するのではなく、「効率」あるいは「効果」に対して評価するようになれば、ボトムアップによる業務改善を期待しやすくなるだろう。

 個人の頑張りだけでは、組織が得られるメリットも少ないし、その効果も一時的、あるいは個人のワークライフバランスを崩すことにもなりかねない。組織として業務改善を推進すれば、その効果は永続的になると期待できる。吉越氏が提起するように、改善を適用していく組織の人数と時間の掛け算の答えが効果となってくるはずだ。

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