点検:ストレスなきデジタル情報整理術

変化し続ける「組織」や「道具」の要件点検 ストレスなきデジタル情報整理術(3/3 ページ)

» 2010年03月23日 08時30分 公開
[岡田靖,ITmedia]
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「鳥の目、虫の目」を実現する道具

 組織としてトップダウンの改革とボトムアップの改善を並行して効果的に進めていくためには、個々人が目先の仕事に没頭するばかりではなく、物事を大局的に見る力が持つようにならなくてはいけないだろう。いわゆる「鳥の目、虫の目」という感覚である。

 吉越氏は、人を育てる上で「任せる」ことの重要性と説いている。経営層やマネジャー層になれば「鳥の目」は当然のように求められる視点だが、現場の従業員もいずれ仕事を任せてもらえるように、鳥の目を養っておくべきだろう。これは個人や組織の将来にとっても望ましい。

 そのように考えれば、業務で使う情報共有の道具には、単に検索性の良さや体系的な情報管理機能だけでなく一覧性も重要になる。パッと見て、全体像をすぐにつかめるような情報の見せ方が大切だ。検索や体系化された情報も目的の情報にたどり着くために欠かせないが、直感的に見つけられるものであれば、個人思考の邪魔をすることがない理想的な思考のためのプラットフォームになるだろう。

 組織のための道具であっても、それを使うのは個人である。組織としての生産性や効率性の向上には、個々人の能力をどれだけ引き出せるかがポイントであり、道具には全体像を直感的に把握できる鳥の目に加え、詳細な情報も見落とさず活用できるような「虫の目」も備わっている必要がある。組織には周囲の変化に合わせて自らも変化していける柔軟性が求められるが、道具にもまた常に変化へと柔軟に対応していけることが求められる。

 組織とは、完成された機械ではなく、環境に応じて柔軟に姿を変える生物だととらえられるだろう。だが、実際には「慣例や慣行だから」という理由で変化を拒む例が少なくない。本来であれば、何のための慣例や慣行なのかを考えた上で、現実の環境に合わなければ変えていかねばならないはずである。思考を停止してしまえば、変革も停滞するのだ。

 当然ながら道具に同じ考え方が当てはまるだろう。同じサイクルを長く続ける道具ではなく、柔軟に変化し続けられるような道具が重要である。これが、組織で使う思考のためのプラットフォームに求められる要件だ。

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