企業価値を向上させるIT基盤構築

クラウド体験を企業内で実現するための仮想化テクノロジーと管理ソフトウェアクラウドがもたらす“本当のメリット”(1/2 ページ)

クラウドがもたらすはずのユーザー体験をどのように具現化していくか。それがこれからの企業に課せられた新たな使命と言える。日立では、ユーザーに価値を提供するクラウド的エクスペリエンスを企業ITで実現するための取り組みを推進している。

» 2010年03月24日 08時00分 公開
[ITmedia]

(このコンテンツは日立製作所「Open Middleware Report vol.50」からの転載記事です。)

 クラウドがもたらすはずのユーザー体験をどのように具現化していくか。それがこれからの企業に課せられた新たな使命と言える。日立では、ユーザーに価値を提供するクラウド的エクスペリエンスを企業ITで実現するための取り組みを推進している。

 日立のクラウドへの取り組みを、日立製作所 ソフトウェア事業部 クラウド・コンピューティング推進室長の稲場淳二はこう表現する。

 「日立のクラウド戦略では、企業のお客様に『クラウド的ユーザー体験』を実現できるようご支援をすることが主眼の1つとなっています」(稲場)

日立製作所 ソフトウェア事業部 クラウド・コンピューティング推進室 稲場淳二

 ここでの「クラウド的ユーザー体験」とは具体的に何を意味するのか。これは、GoogleAmazonなどの一般消費者向けのクラウドが提供しているサービスの特性を考えてみれば容易に分かる。まず、第一にサービスがほぼ無停止で稼働している。障害による計画外停止が少ないだけではなく、保守のための計画停止もほとんどない。過去においては、人気の新製品の発売日などにアクセスの集中によりシステムがダウンするというケースが見受けられたが、クラウドの世界ではそのようなケースは皆無とは言えないまでも激減している。必要に応じて処理能力を動的に追加する機能が進化しているからだ。

 そして、クラウドの世界では、ユーザーがどこにいてもデータをアクセスし、サービスを利用することができる。特定のソフトウェアがないためにデータが利用できないということがない。基本的にはネット接続とブラウザさえあれば作業を進めることができる。また、新しい機能や画面を開発する場合に一からコーディング作業を行なう必要はほとんどなく、提供されているテンプレートなどを活用して容易かつ迅速に開発が行なえるようになっている。

 一般消費者にとってこのような状態はすでに当たり前になっている。つまり、「システムの都合」を意識することなく、やりたいことに集中できるようになってきたということだ。これこそが「クラウド的ユーザー体験」にほかならない(図1)。

図1 クラウド的ユーザー体験とは

 これらのクラウド的な体験を企業ITの世界で実現することで企業がメリットを得られるのは当然だろう。つまり、負荷が集中してもダウンしないシステム、いつでもどこでもデータが利用できるシステム、「システムの都合」にとらわれずやりたい機能を迅速に実現できるシステムということだ。実は、これらの特性はクラウドが登場する前から期待されていたものである。しかし、クラウドの普及の進展により、その姿がより具体的になったと言えるだろう。そして、一般消費者としてこの体験を知ってしまった従業員や顧客が企業にも同レベルの体験を求めることは容易に予測できる。

 「このような体験を、他社に先駆けて企業内の従業員、パートナー様、そしてお客様に提供できる企業は競合優位性を獲得できると考えます。逆に、提供できない企業は不利な立場に置かれることになるでしょう」(稲場)

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