フルハイビジョンのビデオ会議を中小企業に、RADVISIONが価格重視の新製品発売

RADVISIONは、他社に比べて価格を半分程度にしたフルハイビジョン(フルHD)対応のビデオ会議システムを発売した。

» 2010年06月24日 10時25分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 ビデオ会議システムメーカーのRADVISION Japanは6月24日、水平解像度1080本のフルハイビジョン(フルHD)に対応したビデオ会議システムの新製品「SCOPIA XT1000」シリーズを発売した。他社の同等製品に比べて価格を半分から7割程度に抑えた点が特徴となる。

 新製品は、フルHD/30フレーム毎秒での高画質映像出力と共有データの再生、最大8地点の同時接続、3方向の音声収録などに対応。10倍ズーム対応のパン・チルトカメラ、マイク、MCU(多地点接続制御装置)で構成される。

 国内の販売価格はオープンで、米国では7400ドルとなる。競合製品と比べた場合の価格は、半分から7割程度になるという。同社では主に中小企業や教育機関、官公庁、公共団体での利用を想定し、3年間で100億円の売り上げを見込む。

SCOPIA XT1000(モニターは別。製品版ではカメラの本体カラーがブラックになる)

 同社は、ビデオ会議システムメーカー他社へのH.323プロトコルのライセンス供与で95%のシェアを持ち、MCUのOEM供給も行う。PCでビデオ会議を利用するためのソフトウェアを無償提供している。低価格の製品を販売する狙いについて営業統括部長の後藤光治氏は、「企業が導入しやすい製品を提供することで、ビデオ会議システムの市場を拡大させたい」と話す。

 国内のビデオ会議システムの推定市場規模は2009年度が約100億円で、2018年度には1400億円強に拡大すると予想されている。現在のビデオ会議システムは、「テレプレゼンス」と呼ばれるハイエンドシステムと専用会議室を利用するもの、一般的な会議室で利用できるHDのシステム、アナログテレビ放送と同等の画質(SD)による廉価なシステム、PCのWebブラウザで利用するシステムやサービスがある。

 テレプレゼンスの構築コストは1000万円以上になる場合が多く、フルHDのシステム製品でも数百万円になる。デジタルテレビ放送の普及でフルHDの映像が日常生活に浸透しつつあり、同社は安価なフルHD対応製品を供給することで、ユーザーのすそ野が広がると期待している。

 具体的な利用シーンは、複数拠点における経営者や幹部社員の会議、遠隔教育やセミナー、遠隔医療などを想定。フルHDの映像はモニター越しでも出席者の表情が相手に伝わりやすいため、実際に対面するのに近い臨場感を得ることができる。セミナーや医療などのシーンでも画像を交えて資料や映像を鮮明に表示することができるといったメリットがある。

 ビデオ会議の社内利用を促進したところ、同社では2009年に出張に伴う費用を約140万ドル削減し、移動に伴う二酸化炭素の排出量を740トン削減した。「実際に会う必要がある仕事は対面で行っており、ビデオ会議の利用が増えても業務に支障が出ることはなかった」(後藤氏)という。

 このほか、同社はスマートフォンのiPhoneやBlackBerry、小型携帯端末のiPadでMCUを制御するアプリケーション「SCOPIA Mobile」を無償公開した。参加者の呼び出しやカメラの制御、音声のオン/オフといった操作が行える。今後はこれらの端末でテレビ会議に参加できる機能も提供していくという(当面は音声と資料共有のみ)。

変更履歴……初出時に「高橋光治氏」とありましたが、正しくは「後藤光治氏」です。訂正するとともにお詫び申し上げます。

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