上海万博に出現した未来都市、それを支えるテクノロジーとは?【前編】(1/3 ページ)

経済成長著しい中国を象徴する一大イベント「上海万博」には、今なお連日多くの人々が訪れている。そこでは上海をはじめ世界各国の都市における、あるべき未来の姿を目にすることができた。

» 2010年09月13日 12時48分 公開
[伏見学,ITmedia]

 「城市、让生活更美好」――。より良い都市、より良い生活の実現をテーマに掲げて今年5月に開幕した「2010上海万博」。来月末に閉幕を控えるが、これまでに中国国内はもとより世界各国から約4965万人が会場を訪れた。来場者は最新のテクノロジーやさまざまな文化に触れることで、未来の世界、そこにあるべき自身の姿に思いを馳せている。

 万博会場は上海の中心を流れる黄浦江を境に、大使館がパビリオンを出展する「国家館」エリアと企業が出展する「産業館」エリアに大きく分かれている。国家館では各国の文化や慣習などを知ることができ、産業館では最先端の技術をベースにした具体的かつ現実的な未来を見ることができる。その産業館において、上海という都市の近い将来像を投影し、市民を沸かせていたのが米Cisco Systemsのパビリオンだ。

上海の中心部を流れる黄浦江から都心を望む。向かって右岸が国家館エリア、左岸が産業館エリア 上海の中心部を流れる黄浦江から都心を望む。向かって右岸が国家館エリア、左岸が産業館エリア

 Ciscoは上海万博のネットワークインフラを一手にサポートするほか、グローバル展開するIT企業で唯一の出展者として1500平方メートルもの規模のパビリオンを構える。施設は2階構造になっており、1階では一般来場者向けに2020年の上海を題材にした映像が上映され、2階では政府関係者やビジネスパートナーなどに向けた未来都市構想のショーケースが設けられている。

 万博において同社が打ち出しているテーマが「Smart+Connected Life」(スマートで接続された生活)である。この上位概念として2008年からCiscoが提唱しているのが「Smart+Connected Community(S+CC)」だ。S+CCとは、交通や教育、医療など生活にかかわるあらゆるものをIPネットワークで結ぶというサービスインフラ基盤である。具体的には、交通(Smart+Connected Transportation)、安心・安全(Smart+Connected Safety and Security)、エネルギー(Smart+Connected Utilities)、ビルディング(Smart+Connected Real Estate)、教育(Smart+Connected Learning)、医療(Smart+Connected Health)などのソリューション分野が用意されている。このS+CCを多くの人々に広く浸透させようというのが万博での狙いである。

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