自動音声診断によって顧客自身でトラブルを解決NECのPCを支えるコンタクトセンター(1/2 ページ)

およそ30年にわたり5200万台以上のPCを世に送り出してきたNEC。それら製品のユーザーを支える重要な役割を担うのが、全国に複数の拠点を持つコンタクトセンターだ。これまでの歴史の中で積み重ねた経験と最新技術を駆使して、顧客サービスのさらなる向上を目指す。

» 2010年10月15日 08時00分 公開
[伏見学,ITmedia]

 1979年の「PC-8001」発売以来、日本のPC市場をけん引してきたNEC。現在までに累計で5200万台強を出荷している。それらのユーザーから相談を受けたり、トラブルを解決したりするためのカスタマーセンターを運営するのがNECパーソナルプロダクツである。

 NECパーソナルプロダクツは、PCの開発および生産を担当するNECカスタムテクニカと、販売やマーケティングを担当するNECカスタマックスの合併により、NECのPC開発や製造、販売などを行う会社として2003年7月に営業を開始した。同社のカスタマーセンター「121コンタクトセンター(121CC)」は、両社合併前の2001年10月から開業しており、PCおよび周辺機器にかかわる顧客からの相談をサポートしている。現在は東京や沖縄など全国5カ所に拠点があり、スタッフ数は500人、年間180万件のコールに対応している。121CCへの問い合わせは、パソコンが起動しない、インターネットにつながらないといった内容が大半を占める。

 121CCの一歩上のサービスとして、PCの高度な活用、他社の周辺機器やソフトウェアとの複合的な使い方についての相談に対応する「NEC PCプレミアムセンター」も設置している。こちらは、相談1件(1インシデント)当たり3000円の有償サービスながら、高いスキルを持ったエージェント(オペレーター)が対応することにメリットを感じる顧客が多い。

 121CCにおける現在のコールの流れについて、着信すると自動音声応答装置(IVR)による顧客の誘導が行われ、自動着信呼配分機能(ACD)で適切なオペレーターに振り分けられる。同センターでは、問い合わせの90%が一次対応で解決するものの、技術的な内容やより高度な問題であれば、必要に応じて二次的、三次的な対応を行っているという。

顧客満足を下げてはいけない

自動音声診断のメリットを語る、NECパーソナルプロダクツの安達俊行執行役員 自動音声診断のメリットを語る、NECパーソナルプロダクツの安達俊行執行役員

 一般的に、顧客の問題解決のために結果として応対時間が長くなってしまうのは避けられないことのように見える。しかし一方で、顧客は早く問題を解決したいからカスタマーセンターに電話するのであり、そこで「電話がつながらない」「たらい回しにされる」「電話で問題解決できなかった」などという事態が起きては顧客満足(CS)の低下につながりかねない。

 121CCでは、リアルタイムに着信状況を管理するシステムを導入して着呼率を上げる取り組みなどをしているが、対応するオペレーターのリソースが限られているため、ピーク時には問い合わせ内容に関係なく顧客を待たせてしまうといった課題があった。そこで、過去の実績などを基にさまざまな議論がなされた後、解決策として導き出されたのがIVRを利用した音声診断の導入である。

 「顧客がセンターに問い合わせると、オペレーターにつながるまでに待ち時間が生じる。その時間を利用してIVRによる問診を実施することで、問題解決の迅速化につながるはずだと考えた」と、NECパーソナルプロダクツの執行役員である安達俊行氏は話す。

 そうして、2010年1月に自動音声診断がスタートする。

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