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» 2010年10月20日 08時00分 公開

クラウド時代のストレージデバイスアナリストの視点(2/3 ページ)

[塩原一平(富士キメラ総研),ITmedia]

コンシューマー分野のクラウド

 コンシューマー分野では2000年以降、AV機器のデジタル化、携帯電話の世界的な普及拡大や高機能化(=スマートフォン)が急速に進んだことで、写真、音楽、動画など各種コンテンツのデジタル化も急進した。近年では、ネット接続機能を最適化して他機能を省いたネットブックPCやiPadのようなタッチパネル端末の登場などにより、ネット上のデジタルコンテンツの利用に対してより利便性が高まっている。

 現在、ネット上のデジタルコンテンツの利用方法として、サーバにあるコンテンツをクライアントにダウンロードする方法と、サーバのコンテンツをクライアントに保存することなく利用するストリーミングに大別される。現状では1コンテンツ当たりの大きさが数メガバイトと比較的小さく、DRM(Digital Rights Management:デジタル著作権管理)フリーが多い音楽コンテンツはダウンロード型サービスが主流で、大容量(数百メガバイト〜数十ギガバイト)でDRMの制約が多い動画コンテンツは、ストリーミング型サービスが主流である。

 音楽コンテンツのデジタル流通は、CDからのリッピングなどによって一般化したが、2000年代半ば以降は「iTunes Store」や着メロ、着うたに代表される音楽ダウンロード販売サービスの普及に伴い広がった。

 一方で、動画や地図データといった大容量コンテンツは、「YouTube」に代表される動画共有サービスや「Google Map」に代表されるSaaS(Software as a Service:サービスとしてのソフトウェア)型サービスなど、クラウド化が進む傾向にある。

 音楽コンテンツについても、今後はストリーミング型でよりクラウドに近いサービスへ進化していく可能性が高いといわれている。これにより、クライアント端末にダウンロードしたコンテンツがHDDなどの故障によって消失する、あるいは、スマートフォン端末などの紛失によってコンテンツも同時に失うといったリスクがなくなるのである。

 ただし、クライアント側のストレージにコンテンツファイルがないので、コンテンツの利用にはサーバにアクセスするネット接続が必須だというデメリットもある。「音楽を今聴きたい」という場面で無線ネットワークがつながらなかったということは十分考えられ、現状の無線通信インフラの普及状況を考慮すると、安定的なサービス提供は難しい。モバイルコンテンツ系のクラウドサービスは3G、無線LAN、WiMAXなど各種無線通信インフラの全面的な普及が必須課題となっている。

増え続けるデータセンターのストレージ容量

 さまざまな分野でクラウドが進むことで、情報(データ)はクライアント側ではなく、サーバ(データセンター)側へしていく。従来は、情報処理能力や情報ストレージ容量などハード面でのスペックがクライアント端末の差異化の源泉だったが、今後はユーザーがクラウド上にある情報やコンテンツに便利にアクセスできたり、魅力的なクラウドサービスを享受できたりすることが差別化要因になるだろう。

<strong>図1</strong> 全世界の分野別ストレージデバイス供給容量推移・予測(出典:富士キメラ総研「2010 ストレージ関連市場総調査」) 図1 全世界の分野別ストレージデバイス供給容量推移・予測(出典:富士キメラ総研「2010 ストレージ関連市場総調査」)

 上のグラフはHDD、NAND型フラッシュメモリ(SSD)、光ディスク(CD、DVD、BDなど)の出荷容量の推移である。2009年までは実績、2010以降は予測を示している。ストレージデバイスの容量ベースでの出荷量は年々増加を続けており、2009年には前年比約10%増の279エクサバイトとなった。今後も静止画、音楽、動画などコンテンツデータの拡大により、年率約30〜40%増での成長が続き、2015年には2009年の6.4倍にあたる1776エクサバイトまで拡大すると予測している。

 分野別にみると、データセンターやサーバ向けであるエンタープライズ分野の比率が、2010年に18.5%の見込みであるのに対し、2015年には43.0%まで比率が拡大すると予測している。クラウド化が進むことでクライアント分野に向けたストレージデバイスの出荷量は比率が低下し、エンタープライズ分野へシフトしていくだろう。

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