富士通と米Oracleが共同で開発・製造するUNIXサーバの未来【雨天炎天】 ITmedia エンタープライズ時評

富士通と米Oracleが新しいUNIXサーバを発表した。ハードウェアの長期的な投資保護を導入メリットとして打ち出す。しかし、サーバ市場は海外、国内ともにx86システムが主流となりつつある。

» 2010年12月02日 19時00分 公開
[谷古宇浩司,ITmedia]

 富士通と米Oracleは12月2日、新プロセッサ「SPARC64 VII+」を搭載したUNIXサーバ「SPARC Enterprise Mシリーズ」を発表した。製品デザインと製品ロゴを共通化し、両社で販売する。ただし、「サプライチェーンの具体的な仕組みはまだ決まっていない」(日本オラクル 代表執行役社長 最高経営責任者 遠藤隆雄氏)。

 富士通の野田敬人氏(エンタプライズサーバ事業本部長)によると「SPARC Enterprise Mシリーズ」は、発売後4〜5年経ったSPARC+Solarisサーバの置き換えを狙う製品。SPARC+Solarisサーバを導入している企業にとっては、既存のシステム資産を活用しながら、パフォーマンスの改善が図れる点に導入メリットがあるとする。

 米IDCが発表した2010年7〜9月期のサーバ市場調査によると、インフラ更新案件の主流はx86サーバおよびCICSベースのメインフレームだった(「7〜9月期の世界サーバ市場は堅調、HPとIBMが市場をリード――IDC調査」)。国内でも同じ傾向にあり、IDC Japanは、国内のサーバ市場について、x86サーバ主導の市場構造に転換しつつあると分析している。そのうえで、2014年のx86サーバ出荷金額比率は全体の59%にまで上昇するだろうとしている。

 富士通とOracleによるSPARC Enterprise シリーズのロードマップは2015年まで引かれている。2016年以降は、現時点では白紙。両社は「SPARC Enterprise Mシリーズ」のマーケティング・メッセージをハードウェアの投資保護という観点で打ち出しているが、2016年以降もその“免罪符”を活用できるかどうか。市場調査はUNIXの未来を必ずしも楽観視していない。

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