「変革にはSOA基盤とプロセス統合が欠かせない」── ベライゾンらが成功事例を紹介IBM Impact 2011 Report(2/2 ページ)

» 2011年04月13日 10時30分 公開
[浅井英二,ITmedia]
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 ポルトガルの大手商業銀行、Banco Espirito Santoは、1935年にリスボンで設立された老舗金融として知られているが、ビジネスプロセスを洗練させ、顧客満足度を高める取り組みにも積極的だ。例えば、口座開設は20分以内に完了するなど、具体的なKPIを掲げて顧客中心のサービス拡充に努めている。LombardiのBPMソフトウェアの導入は、IT部門に依頼しなくてもビジネスユーザーがプロセスを可視化・管理できる容易さが決め手になったという。

Verizon WirelessやNationwideが変革事例を紹介

 この日のステージには、米国最大手の携帯電話事業者、Verizon Wirelessと米保険大手のNationwide Insuranceが招き上げられ、パネルディスカッションも行われた。

 Verizon Wirelessは昨年3月、競合するSprintからNFL(全米フットボールリーグ)の公式スポンサーの座を奪うことに成功、同社の携帯電話からゲームを観戦できるなど、さまざまなコンテントにアクセスできる権利を得たが、迅速なサービス提供という課題が待っていた。

 「シーズン開始前にも4月には新人選手のドラフト会議が開かれるなど、サービス開始が急がれた」と振り返るのは同社でセールス・プロフェッショナル・サービスなどを担当するバリー・モアハート副社長。一緒に登壇したIT担当ディレクターのベンカト・ガッダム氏も「ビジネス部門や顧客の要件に応えるには、高いセキュリティや信頼性、そして拡張性が求められた。難しいプロジェクトだった」としながらも、SOA基盤が整っていたことにより、極めて短期間でサービスを開始できたという。

 「変革」という視点では既に2年前に「My Verizon」を開設、カスタマーサービスのセルフ化を実現しており、ユーザー自身でサービス変更などを行えるようにした。

 「今後は、ITやビジネスのコンシューマライゼーション(iPhoneやソーシャルネットワークのような一般消費者のトレンドがITやビジネスに影響する動き)が加速する。これをどのように生かすかがカギとなるだろう」(ガッダム氏)

 一方、金融は2008年のリーマン・ブラザーズ破綻が引き金となった金融危機以降、規制強化によるさまざまなリスク管理厳格化が経営上の課題となっている。しかし、Nationwide Insuranceで個人向け商品を担当するララ・フォルスマン副社長は、「規制が強化されたときこそ、変革による差別化の好機だ」と話す。

 「金融は膨大な顧客の情報や取引のデータを扱う。単に間違えずに処理をするのではなく、これを変革し、分析性の高いものにしていけば、より良い情報に基づいた的確な意思決定が行える」とフォルスマン氏は話す。

 また彼女は、「変革の成功には、経営陣の強力な後押しや、長期的なビジョン/戦略の共有が欠かせない」と参加者へのアドバイスも忘れなかった。

左からIBMグローバルビジネスサービス担当のフランク・カーン上級副社長、Nationwide Insuranceのフォルスマン副社長、IT担当のタミー・クレイグ副社長、Verizon Wirelessのモアハート副社長、ガッダムITディレクター

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