エンドポイントセキュリティ・再考のススメ

未知の脅威に備えるウイルス対策の選び方エンドポイントセキュリティ・再考のススメ(2/2 ページ)

» 2011年05月11日 10時00分 公開
[今野靖雅,ITmedia]
前のページへ 1|2       

ヒューリスティック技術で軽くなるウイルス対策ソフト

 次いで考えてみたいのが、ウイルス対策ソフトの動作についてだ。先に説明したように、日々膨らんでいくウイルス定義ファイルのサイズを抑えるため、ヒューリスティック技術を有効活用しようとする製品には、補助的に利用しているのみのものから、それを最大限に重視するものまでさまざまなものがある。一般的にはヒューリスティック技術を重視していくものであるほど、未知か、既知かに関わらずウイルスを検知できるので、過剰なウイルス定義ファイルは不要となり、プログラムを肥大化させずに済むということがいえるだろう。

 また、近年のウイルス対策ソフトはさまざまなセキュリティ機能を包括するようになってきたため、大きなシステムリソースが必要とされるようになった。この点についても、個別にエンジンが用意されている製品よりは、全ての機能を単一エンジンに統合している製品の方がシステムリソースの消費が少なく済む。ヒューリスティック技術は開発に対する長い歴史性もあり、技術も洗練されているため、こうしたリソースの消費が少なく済むことに大いに貢献するといえる。

最後に:ウイルス対策のポイントは実装力にあり

 現在の企業環境の中で、PCの使われ方は多様で過酷になっている。プロジェクト単位での短期間的なチーム編成が増え、ワークフローも頻繁に変化する。PCの利用も、そうした現場の流動性にあわせた柔軟性が求められている。実際の利用においても、タフな使われ方が常態化しているだろう。

 そんな中で、PCの作業にとってウイルス対策ソフトが“重い”といった点は、ビジネスやワークフローにとっても大きなマイナスになりかねない。こうした点を鑑みても、PCの負荷を軽減するヒューリスティック技術を搭載した製品を選ぶことのメリットは高いといえるだろう。いわば実際のビジネスの現場の状況に合わせた実装力を兼ね備えているということができるからだ。


 機能や構造が複雑化し、ソフトウェアメーカーが製品のメジャーバージョンアップを実施する頻度は確実に少なくなってきている。その中で、ほぼ1年のペースで大幅に機能を向上させ、バージョンアップを繰り返しているのがウイルス対策ソフトだ。その進化は目も見張るものがあるにも関わらず、これまでの古い固定概念でウイルス対策ソフトを選択しているケースも多い。上記で説明してきたように、ヒューリスティック技術の違いにも目を向け、ビジネスの現場に最適な実装力を備えたものを選ぶことが、エンドポイントのウイルス対策にとって重要である。

著者プロフィール:今野靖雅

外資系ITベンダーのSE、宣伝部などを経て、フリーライターとして独立。IT関連企業のソリューションやサービス、導入事例の紹介などに関する提案とともにライティングを手掛ける。得意分野はセキュリティ、ネットワーク、ECO関連など。ライティング以外にも、プライバシーマークの取得コンサルティングなども手掛けている。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ