富士通、位置情報を活用するクラウドサービスを発表――基盤利用やデータ提供も

富士通は、位置情報と外部情報を組み合わせて独自のシステムなどを構築できるクラウドサービス「SPATIOWL」を発表した。まずは交通情報を活用したメニューを提供する。

» 2011年06月14日 17時59分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 富士通は6月14日、位置情報と外部情報を組み合わせて独自のシステムなどを構築できるクラウドサービス「SPATIOWL」を発表した。サービス基盤の利用や交通情報、商用車管理などのメニューを7月から提供する。

 SPATIOWLは、センサーネットワークから収集した大量の位置情報と、ユーザーが所有する情報を同社のデータセンターに構築したサービス基盤上で目的に応じて処理を行い、独自のシステムやサービスを実現できるという。並列分散処理や複合イベント処理、ネットワークなどの中核技術を組み合わせて実現した。

 同サービスを利用することで、複数のデータソースの解析から得られた情報を、目的に応じて1つの地図画面上に表示できる。例えば地域の交通事情を紹介することを目的にした地図情報の発信では、自動車に搭載しているセンサーで走行情報を収集し、ドライバーの運転操作の傾向をクラウド上のサービス基盤で分析して、事故が多発する地域を割り出す。その情報にSNSなどで住民が発信した地域情報やコメントなどを組み合わせることができる。

都心部の交通渋滞状況とSNSのコメントを組み合わせたイメージ

 7月から提供するメニューでは、SPATIOWLのサービス基盤を利用できる「SPATIOWL基盤提供サービス」と、都内を走行する約4000台のタクシーから収集したプローブ情報(位置、速度、時間など)を交通機関などの業務システムに反映できる「交通情報データサービス」「商用車テレマティクスサービス」「音声処理サービス」をラインアップしている。

 想定顧客は、テレマティクスサービスや交通情報サービスなどの提供事業者、運輸機関、自動車メーカー、地域向けサービス事業者、不動産関連や広告などの企業など。交通情報や道路状況管理、社用車の運行管理、地域分析といった業務での活用が期待されるという。

川妻庸男常務

 富士通は、2014年3月末までに累計400システムへの導入と100億円の売上を見込む。

 同日会見した川妻庸男常務は、SPATIOWLについて「企業のフロント業務を支援する商材として、当社では新しいビジネスに位置付けている。位置情報は交通分野だけでなくさまざまな分野で活用できるため、多様なビジネスモデルの創出に貢献したい」と述べた。

 今回商用化したメニュー以外にも、ヘルスケアや農業、ペット医療などの分野で実証実験を進めており、その他の産業領域や情報サービス分野などの企業との間でビジネスモデルの検討を既に始めているという。

タクシーのプローブ情報を基に、東日本大震災での都心部の交通状況の変化をシミュレートしたもの。発生前(写真左)に比べ、14時46分の発生後に混雑度が増していたことが分かる

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