「Googleは私の書籍出版を阻止した」――Google出身のFacebook幹部が告白

Google+のコア「サークル」の基本思想についての書籍の出版をいったんは許可したGoogleが、Google+プロジェクト進行中に許可を取り消したという。

» 2011年07月14日 09時26分 公開
[佐藤由紀子,ITmedia]

 元Googleのリサーチャーで、2010年12月にFacebook入りしたポール・アダムス氏が7月13日(現地時間)、自身のブログでGoogleからFacebookに転職した経緯などを明らかにした。11日にやはり元Google社員だったダンジー・プラサナ氏がGoogle+について語った個人ブログをきっかけに、さまざまなうわさが広がっていることを受けて自ら説明することにしたという。

 アダムス氏はGoogleに在職中の数年前、「Real Life Social Network」という考察を社内で発表した。これは、リアルな世界での人間関係とFacebookのソーシャルグラフの違いを明確にし、Facebookの弱点を指摘するものだった。プラサナ氏によると、当時Googleではソーシャルへの関心が薄く、この考察は社内であまり注目を集めなかったという。Googleはこの考察を一般に公開することをアダムス氏に許可している。その後「Emerald Sea」というプロジェクト名でGoogle+の開発が始まり、この考察が同サービスの「サークル」の設計の中心となった。

 circle 「Social Circles」のカバー

 一方、アダムス氏はReal Life Social Networkに基づく書籍「Social Circles」をGoogleと協力して執筆し、2010年6月にGoogleからこの書籍を出版する許諾を得た。同書のタイトル、内容、カバーはGoogle+立ち上げ前に決定したものだという。ところが、2010年7月にEmerald Seaプロジェクトの情報がリークされたころ、Googleは出版許可を取り消し、Google+の公開までは出版しないよう口頭で伝えたとアダムス氏は説明する。同氏はこれを受け入れたが、Google+がフィールドテスト段階とはいえ公開された現在、「出版許可を求めるメールにGoogleが返事をくれないのがなぜだか分からない」としている。

 同氏は、Googleを辞めた理由の1つとして、同社がエンジニアリングを至上としており、同氏のようなリサーチャーの意見が戦略レベルに採用されるのが難しかったことを挙げている。また、数年の間に同社の企業文化が劇的に変化し、より官僚的になったことも一因だという。ただ、同氏は現在もGoogleに敬意を抱いているとしている。

 なお、同氏は現在、Faceobookで広告製品関連のマネジャーを務めており、Facebookが2010年10月に発表した「グループ」機能には関わっていないという。

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